ただでさえまだ自分の心も定まりきらない繊細な思春期に、他とは違う自分を見出してしまっていたら、学校での集団生活なんてのは怪しい新興宗教の集会に参加させられた気分ていうのは分かる気がする。
たとえそれがセクシュアリティや腐女子趣味の問題でなくとも、ほんの些細なことでもそれは感じるだろうけど、本人にとっては事は重大、『ただし摩擦はゼロとする』なんて数式みたいに簡単には行くはずがない。
それでも、本当の自分を隠しても必死に自分の『好き』を守ろうとする2人の姿が、真実を知ってからは、苦しみながらもお互いの『好き』を懸命に理解しようとする姿がとても愛おしい。
同じ方向で同じものを好きにはなれなくとも、その有りようを人として好きでいることはいくらでも可能だ。
きっと悩みながら、2人はお互いにとても大切なものを見つけたのでしょう。
そして生涯の友を。
まだ幼さの残る若い2人の壊れそうな繊細さに、苦しく感じるところもあるけれど、最後にはどこか優しい気持ちになれる、透明で美しい物語です。
実は、この作品は同じ原作と知らずにNHKのドラマ版でも観ていたことに見始めてから気づきました。
(タイトルは『腐女子、うっかりゲイに告る。』)
ドラマ版も30分×5話でしたし、俳優さんの違いはあれど、映画もドラマもどちらも遜色ない出来です。
いや、それにしても、ほんと三浦さん良い子……(亮平くんも、小野っちもみんな結局良い子)