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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎のmaroのレビュー・感想・評価

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)
4.0
2023年日本公開映画で面白かった順位:8/162
  ストーリー:★×20
 キャラクター:★★★★★★★★★★
     映像:★★★★★★★★★★
     音楽:★★★★★★★★★★
映画館で観たい:★★★★★

劇場アニメ版『ゲゲゲの鬼太郎』シリーズ第9作目(実写版を含めると第11作目)。
これはもうヤバい面白さ!!
今年観た邦画アニメの中では『美少女戦士セーラームーンCosmos』をずっと推していたけど、個人的にはこっちの方が断然楽しめた!!
なぜなら、『セーラームーン』は昔観ていたエモさに引っ張られてるけど、今回の『ゲゲゲの鬼太郎』は“エピソード0”的な位置づけでさほどエモさはない中で、シンプルに作品単体として恐怖と興奮と感動を覚えたから。

『ゲゲゲの鬼太郎』ってテレビアニメが1968年から6シリーズ続いていて、映画も9本あるから「全部観てないとわからないのでは……」という不安はあった。
でも、今回の映画は鬼太郎が誕生する前の話がメインだから過去作とのつながりは一切ない。
強いて言えば、本作はテレビアニメ第6シリーズの世界観が下敷きとなっているため、そちらを観ていた方が無難かもというレベル。
僕は過去作を全部観てから行きたかったけれど、残念ながら時間が取れず、『ゲゲゲの鬼太郎』との接点は小さい頃に少し観ていた第3シリーズぐらい。
それでも十分すぎるほどに楽しめたので、予備知識としては妖怪退治する少年と目玉のおやじがいるってことぐらいわかっていれば大丈夫かと。

今回の映画は構成の秀逸さと、「『ゲゲゲの鬼太郎』ってこんなに泣けるの、、、?」というギャップが勝ちでした。
前半は、跡継ぎ問題で揺れる龍賀一族のお家騒動がメイン。
土砂崩れで外との連絡が取れなくなった完全孤立した村を舞台に起こる不可解な殺人事件。
犯人はこの中にいる……?
まるで『犬神家の一族』を思わせるような設定の中で、徐々に明らかになっていく真実。
閉鎖的な村社会と、代々続く呪われた一族の秘密に、『ゲゲゲの鬼太郎』感は一切なかったのだけど、ミステリー全開な展開はそれだけでスリリングで面白かった。

それが、中盤で鬼太郎の父(通称、ゲゲ郎)が現れてから一気に映画のジャンルが変わる。
妖怪の存在が明らかになり、彼らとゲゲ郎による激しいバトルは『呪術廻戦』を思わせるのだ。
狂骨っていう巨大な妖怪が出てくるんだけど、こいつはもはや特級過呪怨霊の祈本里香みたいな雰囲気で(笑)

そんなホラーテイストのミステリーとド派手バトルによってスリルと興奮を味わうことになるのだけど、それが終盤で感動作に転じるのよ。。。
ゲゲ郎の妻への愛情、そして我が子の身を案じる父としての優しさは、子を持つ親ともなると感情移入しまくりで泣けちゃう。

そんなわけで、いい意味で自分が持っていた『ゲゲゲの鬼太郎』のイメージとは異なる作風で、それがまた素晴らしいギャップを生んだ映画だった。
過去作品をすべて観ていたらまた違った感想なのかもしれないけど、これはもうただの妖怪アニメではなく、父の子に対する愛情にあふれたヒューマンドラマだったのかもしれない。
鬼太郎本人の出番は少ないものの、BGMがおなじみのテーマ曲をアレンジされたものが使われていて、ちょいちょい鬼太郎感を演出してくるのも好きだった。
これは圧倒的にオススメしたい映画。
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