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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎のMrOwlのレビュー・感想・評価

⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)
4.0
『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』(きたろうたんじょう ゲゲゲのなぞ)は、水木しげる生誕100年記念作品として制作された劇場版です。
2018年に製作された『ゲゲゲの鬼太郎』のテレビシリーズ第6期をベースとした作品なので、猫娘は、スタイルが良く、身長が鬼太郎の2倍くらいあります笑。
物語は廃刊間近となっている雑誌記者の山田が、廃村となった哭倉村(なぐらむら)へやってくるところから始まります。
山田は、同じく村へやってきた鬼太郎、ねこ娘、目玉おやじと遭遇するが、引き返すようにという警告を無視して、鬼太郎たちに取材しようとつきまといますが、鬼太郎たちを見失った山田は、穴の中へ落ちてしまいます。一方、廃墟となっているかつての哭倉村に足を踏み入れた鬼太郎と目玉おやじ。目玉おやじは70年前にこの村で起こった出来事を想い出しています。
場面は変わり、時代は昭和31年(1956年なので、戦後10年程経ったころですね)、当時の日本の政財界を牛耳っていた龍賀一族の当主、龍賀時貞が死去ます。帝国血液銀行に勤める水木は龍賀一族の経営する製薬会社「龍賀製薬」の担当者であり、時貞の娘婿である社長の龍賀克典とは懇意にしていた。克典に自身の顔を売り出世の足掛かりとすべく、水木は東京から龍賀一族が暮らす哭倉村へと向かいます。
哭倉村は龍賀一族が実質支配しているようで、閉鎖的な雰囲気が漂います。顔見知りばかりの村に水木のようなよそ者が来たことが直ぐに村中に広まるなど、現実でもあることが描かれており、リアリティを感じます。当主の龍賀時貞の後継が実子の長男なのか、娘婿で社長の龍賀克典になるのか、というところから、殺人事件も起こり、龍賀製薬の実権に関わる権力闘争と龍賀一族の秘密、闇のようなものがうねり出し、水木はそれに巻き込まれていきます。そこへ妻を探すために村を訪れた、下駄履きの和装の風変わりな男が、殺人犯の嫌疑をかけられて捕縛されます。行きがかり上その男の監視を務めることになった水木は男をゲゲ郎と呼び、お互いの目的のために共闘していきます。実はゲゲ郎は、幽霊族の最後の生き残りで・・・と、そう言えば鬼太郎は妖怪じゃなくて幽霊族だった!と映画観てて思い出しました笑。水木先生と言えば妖怪、なので、鬼太郎や目玉おやじが幽霊族であることは忘れてしまいがちですね笑。仲間の砂かけ婆、子泣き爺、猫娘、一反木綿、ぬりかべとか、妖怪なんだもん笑。幽霊族であるゲゲ郎は、妖怪や土着の神などと交信できるようで、そのゲゲ郎と行動を共にする水木が徐々に霊感に目覚めていく様子も面白い演出でした。場面転換の演出、カット割りは現代の演出が施されているので、舞台は昭和31年と昔ですが、昔のアニメ、のような古臭さは感じませんでしたね。ストーリー展開としても、当主の跡目争い、龍賀一族の闇、殺人事件の犯人捜し、ゲゲ郎の妻の捜索とミステリ、サスペンス、オカルト要素が交じり合いながら複数の物語が進んでいくので、興味を惹かれながら物語に入っていけました。中盤にアクションシーンもあるのですが、このシーンの出来はかなり良いですね。詳しくは言及しませんが、山伏、修験道、天狗、呪術、陰陽師、ミリタリー系の近接戦闘、ガンファイト、の要素が好きな方は楽しめます。迫力もありましたね。終盤では殺人事件の犯人、一族の闇などが明になっていきますが、この辺りの展開は少し読めました。ただ、大どんでん返しを期待しているわけではなかったので、だから減点、という感じでもありませんでした。「意外と面白い」という感じでクチコミで評価が広まっている作品であることが納得できるクオリティの作品だと思います。鬼太郎にはあまり興味がないな、という人でも、妖怪や、村社会の闇、殺人事件の犯人は?というような楽しめる要素があるので、ちょっと気になる、という人は観賞してみてはいかがでしょうか。「意外と面白かった」と感じると思います。
余談ですが、水木先生原作の鬼太郎は意外とダークな話もあったりするので、そういう話が好きな方は「墓場鬼太郎」シリーズもおススメです。
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