コーエン兄弟が贈るちょっぴり笑えるシニカルなサスペンスドラマ…とかだと思ってたらなんだこりゃ。怖ぇ。
ストーリー自体はシンプルなんですが、緊張感とキャストのハマり方が圧倒的でした。出退場のタイミングも素晴らしかったです。
問題のラストシーンですが、ぶつけてきたのはマフィアか何かと思いきや事故車から人は出てこない。つまり加害者は赤信号を猛スピードで暴走してきた一般人ということになると思うんです…。冷血非道な殺人鬼でさえ一寸先は闇。そしてシャツを売った子供達の会話にも既に悪の兆しが…。
進化し続けてしまうアメリカの犯罪事情。追う側がその芽を摘んでも摘んでも無限に、しかも形も場所も変えて、めちゃくちゃに生えてくる。こんな世についてけねぇ老人に居場所はもう…。
無駄に残酷なシーンが無いせいか、そんなエンディングなのにもかかわらず、この手の映画によくある後味の悪さはさほどありません。ボキャ貧定期ですが、すごい映画でした。