しの

ライダーズ・オブ・ジャスティスのしののレビュー・感想・評価

3.1
最近の映画でよく目にする「偶然」の面白さにフォーカスした一作だが、中でもこれはだいぶヘンテコだ。偶然による復讐劇だったはずが、気づけば偶然によるセラピー劇に。もはや投げやりにすら思えるクライマックス、そしてラストシーンの予想外のトーンに良くも悪くも呆れ笑い。

リベンジアクションの文法に則ったシリアスさをマッツが体現しつつ、しかしそれにしては数学者たちがヘンテコキャラクターすぎるし、合間合間に笑って良いのか分からないおかしな展開や人間同士の化学反応がある。このミスマッチ感は何なのか……と思っていたら、終盤で納得。つまりこれは、偶然に偶然で対抗するセラピー映画だったということだ。そう考えると、次第にメンバーが増えていく食卓の奇妙なおかしさなどは確かに面白かった。

しかし、その納得までが長い! 父親に娘が幻滅するくだりが流石に多すぎるし、本来ケアが必要という意味では対等なはずの数学者たちも暴力や脅迫で良いように利用され続けてしまう。これではケアし合う話というより、問題児になぜか皆が優しい世界のように見えてしまう。

クライマックスはもはや理数系関係ないのが面白いポイントで、そこからの強引すぎる牧歌的なオチ含め笑いどころなのだろうが……。途中でもう少しキャラクター同士のパワーバランスの逆転があれば素直にノれたんだろうと思う。
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