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仕掛人・藤枝梅安のトモのレビュー・感想・評価

仕掛人・藤枝梅安(2023年製作の映画)
4.6
池波正太郎生誕100年企画、時代劇パートナーズ42社制作、時代劇専門チャンネル開局25周年作品と制作発表段階で本気度と話題性の高かった劇場作品

これぞ時代劇、贅沢な時代劇でとても満足できる映画だった

時代劇ならではで分かりやすく、面白く誰でも入り込みやすい構図。出来過ぎなくらい繋がっている人物関係がその一因だけどその繋がりこそがこの作品の本質と深みとして後半に向かうにつれてもろに効いてくる、大森さん脚本の凄さ

河毛監督の思いや言葉が明確でそれがそのまま作品に反映されていたのもよく分かる。踏襲しながらもアップデートする「塩梅」

依頼者である「起こり」と、仲介人である「蔓(つる)」と、実行する暗殺者である「仕掛人」。世界的にも共通するような馴染みの作品題材

主演は豊川悦司さん、制作発表時は風貌と共に意外だったけど結果素晴らしく良かった。渋くセクシーで身体能力の高いトヨエツ梅安。江戸の風景景観に馴染むトヨエツ梅安。燃える月&トヨエツ梅安のあのショットは家に飾りたいくらい良い

天海祐希さんも素晴らしかった!裏表の顔という単純なものではなく本性は見せないが背景が絡んだ心情込みで流動的なミステリアス、クールな演技に引き込まれた

片岡愛之助さんのビジュアルと台詞回しが今作を引き立てているのは間違いなく、梅安、彦次郎の関係性も気になるところだけどストーリーとしてがっつり絡んでいるのも見所

梅安のお手伝い、おせき役の高畑淳子さん、もう完璧です。彦次郎とはまた違う梅安の心落ち着く場所。朝帰りの度に妄想を膨らませ梅安に詰め寄るおせきさん、うざい寄りの絶妙な距離感、最高です

羽沢の嘉兵衛役の柳葉敏郎さん、仲介人の蔓だけど梅安との対面シーンが緊張感あって良かったのと、柳葉さんの演技の間が凄い

菅野美穂さんが女中役演るんだ??という意外性と新鮮さ。梅安との出会いで変わっていくおもんも見所

昭和の名優感半端無いなと思っていた和尚役の人、後で知った。若林豪さんだった!

早乙女太一さんの美しい殺陣と演技、かっこ良かった

裏の顔を持つ大工役の六角精児さん。「アイテテテテ」「覚えてやがれ!」吹き出しそうな程お馴染みでツボで素晴らしい

ホント出てくる全ての登場人物、役者の演技が素晴らしくTHE時代劇

池波正太郎=料理。料理監修が「分とく山」の総料理長で拘りが凄い。食べる食べない、映る映らない関係なく完璧な料理を作る。「料理はにおいなんです」湯気しか映らない味噌汁にも井戸水を汲んできたりと

関わる人達の誇りと本気が作品を高みに押し上げているのだと改めて思った作品

あとエンドロール後の例のやつは本編なのでお見逃しなく
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