JunichiOoya

幕が下りたら会いましょうのJunichiOoyaのレビュー・感想・評価

幕が下りたら会いましょう(2021年製作の映画)
3.0
芝居(演劇)を媒介にということでは、近いところでは『寝ても覚めても』や『ドライブ・マイ・カー』を連想する映画です。(『親密さ』までは言いません)
『幕が上がる』『アイスと雨音』『劇場』なんかも…

でもこの映画は、もう少し若い(日本酒やワインの出来栄えを評する時のあの「若い」)というか青い(生っちょろいとか幼いとかではなくて、年齢でいうと20代半ばみたいな感じ?)テイスト。

実年齢そのままを演じる三十女の松井玲奈さんと日高七海さんのだらだらモヤモヤ演劇人生十数年がリアルです。(そう、高校生の時からだからたかだか15年? なので大しただらだらでもモヤモヤでもないのだけれど)

頓死してしまう松井さんの「妹」、母親、演劇での「再起」に絡むNPO男…
周囲の面々もリアルとモヤモヤの間(あわい)をうろうろする微妙なリアリズム。

やっぱり、日高七海さんの演技が一番良かったかなあ。台詞回し、身のこなし、表情、どれも三十女の矜持と悔恨を余すところなく出しておられて。
ま、ダンスと取っ組み合いの喧嘩の出来栄えはトホホ、でしたが。(尤もダンスの方は敢えての演出ではあっのですが)

自主映画乗りとエイベックスの商業主義が、案外幸福なマリアージュだったかな、と思いました。
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