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Ribbonのtakaのレビュー・感想・評価

Ribbon(2021年製作の映画)
3.8
作品を創り続けてきた美大生にとって最後の表現を分かち合う卒業制作の発表の場がなくなった、という事象は実際日本のあちこちでおきたことです。政府は美術、映像、演劇、音楽、あるいは学問も不要不急のものではないという判断で中止、閉鎖に追いやった。理解者であってほしかった母親にも主人公の作品はゴミとして捨てられてしまう。自分の表現活動が理解されない悔しさ。この作品は、こうした「常識」の中で自分にこだわり、自分を真剣に見つめ、表現しようとする主人公を等身大で描いている。リボンは自分自身であり自分の表現であり、しかしそれは自分だけでは完結しない。ディスタンスが求められるコロナ禍ではなおさらリボンは他者へ繋がろうとする。それは、コロナ禍の希望でもあります。主人公にリボンがたくさん重なり合いながら、リボンは外へも流れていく。主人公は、自分の作品に対して繰り返し言う。「ゴミじゃない!」
コロナ禍において若者の感じるモヤモヤ感を日常生活の中で素直に描き出した。監督、脚本、編集、主役をこなしたのんの次回作が楽しみになる。
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