ロビン

クレッシェンド 音楽の架け橋のロビンのレビュー・感想・評価

4.2
フィギュアスケート観ていて、ネイサン・チェンに対して「一発目のジャンプで転んで怪我して棄権してくれ!そうしたら日本人金・銀・銅制覇できる!」と願った自分を恥じています。。

冒頭があるシーンから始まるんだけれど、あれを観せられるとなんとなく先が読めてしまうのであのシーンから始めた意味がちょっと分からない。
あのシーンから始めなくて良かったのではと思う。
個人的にはそれはかなりのマイナス要素。

パレスチナとイスラエルから若者を集めてオーケストラを結成することになる。
これは普通に考えても困難極まりないし、到底上手くいくはずないなと思ってしまう。
それでもマエストロのスポルク(両親が元ナチス)が行った合宿で、お互いの意見や思いをぶつけ合うことで徐々に打ち解けていくのはあり得る展開だけど、終盤である事件が起きる。。

本作はイスラエルとパレスチナの問題の根本を考えるには最適な映画だと思う。
どちらかに偏っている訳では無く、歴史上善悪が双方にあり、双方が受けた被害の大きさはとてつもなく大きく、比べても意味をなさ無い。
この事を理解し、相手を尊重出来ない限り、共存する事は出来ないと思う。
共存する事がいかに難しい事なのかを痛感することになる。

合宿でお互いを理解する為に行うワークショップで、イスラエル人とパレスチナ人が各国で向き合って、5分間思いっきり相手国の不平不満を言うシーンはある意味ヘイトスピーチの言い合い。
このシーンはかなり心が痛む。
その後マエストロのスポルクが「平和を望むか?」と言う問いに対して反対する人は沢山いる。
さらにその後、マエストロの話(両親が元ナチで終戦後殺されたこと等)を聞いて同じ問いをした時、それでもNOに2人残るシーンが印象深い。

個人的には簡単に音楽は争いや国境を乗り越えるって言うただの美談とならなくて良かったと思う。

【ネタバレ】
  ↓










ラスト、空港でのガラスの壁一枚隔てたボレロの演奏はとっても良かった。
そして最後にボレロを選んだのは、よく分かる。
バレエにおいては、最初は1人で踊っていた踊り子。 
でも、見ていた人たちも段々と踊り出して最後にはみんなで踊る。
だから、楽団員達が徐々に加わっていって全員で演奏するというシーンにピッタリな曲だった。

それにしてもバカな若者男女の安易な恋愛感情のせいで全てが台無しになるのは後味が悪過ぎる。
コンサートが安易に実現しない結末は良かった。
もっと違う理由でコンサートは実現しなかったことにしてもらいたかった。
そして伏線あったなと。
イスラエル人の女性がパレスチナ人の男性と寝てるとこの写真を知り合いの女性に送ってしまう。
なんでこんな安易な行動をしてしまうのか。。
送った相手がオーディションでミスったから最初から演奏をやり直させて欲しいと言って、それを断られたら罵声を浴びせて出ていったクソ女。
そのクソ女が送ってもらった写真を拡散した訳だ。
あんな女に写真送る方もバカだがあのクソ女は最後までクソ女だった。

それとあの警備員は英語話せなかっただね。
多少でも話せてればオマル死なずに済んだ気がする。。
結局オマルは過激派に轢かれたのか、単純に暗い中急に飛び出したから轢かれたのか、別の理由で事故にあったのか分からず終い。。
ロビン

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