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劇場版 呪術廻戦 0の8637のレビュー・感想・評価

劇場版 呪術廻戦 0(2021年製作の映画)
3.9
「廻廻奇譚」を聴きながら「"夜の帳"って何だろう?」と考えていた自分のまま、もうすぐ別れる友達と観に来た。予想外に面白かった。

"一難去ってまた一難"構造、TVアニメキャラの集合(らしき)展開といかにもな劇場版感が彷徨くも、映画との親和性が高い、奥深い感動に泣かされてしまった。「自分の必要性」と「想い人との決裂」というテーマが、乙骨憂太に優しさを持たせた。

ハマれた理由の一つは多分、主人公が乙骨憂太だったからだ。だって彼、碇シンジでしょ?テロップだってエヴァの真似にしか見えない。...序盤はそう思っていたが、やはり緒方恵美は碇シンジとは違う芯の強さを乙骨憂太に宿しているし、明らかなエヴァ感も途中で感じなくなった。タイミングを間違えすぎてるギャグの有無っていう区別もあるな...

呪いについては深く理解しようとしなかったのだが、「呪術師だけの世界」という夏油傑の思想にちょっと畏怖を覚えたのは記しておきたいい。結局、弱い者を含める群れを弱者とみなす強者が世界をつくっていこうとしてるんだな、と。

それに対抗するように、乙骨と里香の想い合いの強さが掛け合わさるクライマックス。「純愛だよ」というセリフなんて完全に厨二病なのに、あんなにも格好良く映ってしまう。もはや我々では感じ得ない、幼い頃の婚約からできた関係なのに、なぜか共感できて泣けてしまう。

全てを踏まえて聴くKing Gnuのガチ勢音楽が劇場に響き渡った時、歌詞も相まって映画と共鳴していて、また泣いてしまった。元々これを聴く事を最大の目的にして来てるから、乙骨のセリフの時点で歌詞と同じであることに気付いたのには少し冷めたが。
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