しょうやん

コットンテールのしょうやんのレビュー・感想・評価

コットンテール(2022年製作の映画)
3.5
リリー・フランキーさんの佇まいが好きで鑑賞したが、錦戸亮くん、木村多江さん、高梨臨さんと好きな実力派俳優さんしか出てこない映画だった。イギリスで道に迷った大島兼三郎(リリー)を助けた父娘、妻を亡くした無骨な父とその父を助ける娘がまたなんとも素敵だった。パンフで実の父娘と知り納得した。
兼三郎と息子トシ(錦戸亮)とは、かなり以前からどうもわだかまりがあり上手くは行っていず、妻の明子(木村多江)を介して辛うじて繋がっているような感じ(何故そうなったかは描かれて無いが、父と息子は得てしてこんな感じなんだろうな)
明子の葬儀から話は始まり、住職から渡された「ピーターラビットの故郷、イギリスのウィンダミア湖に散骨して欲しい」という明子の手紙から、息子家族(妻と幼い娘)とぎくしゃくしながらイギリスへ共に向かう。
明子が子供の頃にイギリスに居たころの思い出の場所とはいうが、自分がいなくなった後の夫と息子の関係を何とかしたかったのではないだろうか…
食うために国語教師をし、売れない作家をぐだぐたと続けるダメンズな兼三郎は、リリーさんだからこそ憎めない掴み所のない魅力的なキャラクターとして演じられていた。明子の遺骨の入った紅茶の缶を愛しげに大切に扱う様子はなんとも可愛いかった。
息子役の錦戸くんは、上手く年を重ねて、アイドルではない、30代後半の息子・父・夫を悲哀を込め演じていて、リリーさん共々色気のある父子だった。2人共にあの笑顔はヤバい(笑)
セリフは少なく淡々と進む中にも60代の介護をする夫婦や、残され生きて行かなくてはならない片割れの問題は、身につまされるテーマだった。
しょうやん

しょうやん