しょうやん

コット、はじまりの夏のしょうやんのレビュー・感想・評価

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)
3.8
3人の姉たちに、小さな妹(多分)もいて、ギャンブル好きの父と、臨月間近で手一杯な母。昼の弁当も持たされず、髪はボサボサ、手足や服は土埃などで薄汚れていて、もうこれはネグレクトじゃないか?という状態のコット。
母のいとこ夫婦に夏休み中預けられる、という話。
何か大きな事件やハプニングが起きる事はない。預けられた先で、風呂に入れられ、爪先をブラシで洗われ、毎日髪を100回ブラッシングされ、次第に小綺麗になっていく。緊張感ある他人の家だったところから、手をかけられ、同じ時を過ごす中で次第にゆったりと過ごせる家へと変わっていく。
ちょっと『赤毛のアン』のマリラとマシューの家の子になっていくアンを思い出させる。
セリフも多くなく、壁紙だったり、そっと置いたマカロンとか、繋がれる手や、牛小屋の掃除など、淡々と綴られる日常に、次第に紡がれる愛情や信頼が見えていき、ただただ紡がれる日々からのラスト、涙が溢れた。
ラストのコットの一言。あれは、どちらに言ったのだろうか?  きっとそうだとは思うが、余韻を残すラストだった。
アイルランド語と英語が混ざるセリフも、アイルランド映画ならではのようで、その不思議な感じも、また良かった。
しょうやん

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