スカポンタンバイク

シン・仮面ライダーのスカポンタンバイクのレビュー・感想・評価

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
1.5
これは、ちょっと。
久々に頭を抱えた。

始まって30分くらいで劇場から出たいと思わされたのは「スターウォーズ/スカイウォーカーの夜明け」以来だ。

正直言いたいが多過ぎてまとまりようがないので端的な話として、これが「シン」の仮面ライダーだと思われるのは心底不快。
私も令和ライダーに関しては追う事ができていないのだが、平成ライダーは両手をあげて大絶賛という事はほとんどないにしても、その時その時にできる魅力的な演出とライダーのカッコよさを追求していた。この映画にその志はあったのか?庵野秀明の作品は何かと「設定が」とか「これは元ネタが」とかいう話で盛り上がりがちなのだけれど、じゃあこの作品はその結果「この作品だからこその新鮮で目新しいカッコよさ」を勝ち得ることができていたのか?ライダーの攻撃で血しぶきが出るとかも別に新しくないし、それでPG13とかいう子供が手に取りづらいレーティングにしてるんだから、少なくとも「子供がカッコいいと憧れるライダー像を描くこお」への志に関しては全然ないと思う。でも、まぁ私自身、それを庵野秀明に期待していたのかと聞かれれば、正直期待していなかったので、観に行った私が悪いなとも思っている。
とにかく、「シン・ウルトラマン」にも同じ事が言えるが、ここまで薄っぺらな人間愛と正義を見せられるというのも中々ない。本当に終始、ショッカーが何故倒されるべき悪なのか、ライダーが何故ショッカーと戦うことが正義なのか、戦う事を覚悟できたのかがサッパリ分からない。それっぽい設定はクリストファー・ノーランもビックリな説明台詞とレトリックで処理され、それらがキャラクターのエモーションや行動によって表現されるという事がほとんど、いや、全くない。だから、どこまでも設定を積んで積んで積んで積んでるだけで、そこに深まるものが全くない。
生粋のライダーオタクにとっては、楽しい要素がいっぱいあるのかもしれないが、私はやっぱりもっと子供のために作ってほしいと思ってしまう。そこを結局取りこぼしてしまったら、ある種子供だからこその無垢で本能的な正義感の本質をやはり失ってしまうんじゃないかと、庵野の「シン」シリーズを観てると心底思ってしまう。
ライダー好きでやるのはいいけど、だったら日曜のテレビシリーズを監督してよと思う。

※追記
「ザ・バットマン」に続いてというか、まさか仮面ライダーのライダーマスクからライダーシャ◯が出て狂人化するという設定には度肝を抜いた。