マーフィー

シン・仮面ライダーのマーフィーのネタバレレビュー・内容・結末

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

2023/03/18鑑賞。
公開2日目で劇場にはおっさんとオタクが大量で最高やった……。


「家族の物語」と「継承の物語」はやっぱりアツい。


『シン・ウルトラマン』もそうだったけど、
アクションはともかく作品としてしっかり仮面ライダーしててよかった。
随所に入れられる変身ポーズや効果音だったり、仮面ライダーっぽいジャンプのカットだったり、リアリティの追求だけにこだわらずに、ちゃんと仮面ライダーな要素を大事にしているのがファンにもたまらないと思う。

戦闘シーンの出血大サービスについては、これでいいでしょう。ある意味リアリティの追求とも思える。
仮面ライダーといえば頭おかしいんじゃないかというレベルの超絶スペック。パンチ力やキック力は単位がトンで語られるので、
ちゃんと表現したらこんな感じにはなるだろと思う。
普通の人間ではなく戦闘員相手だからまだこれで済んだとさえ思える。

トンネルで大量のバッタオーグと戦うシーンの、暗闇の中でも目の赤色の違いで見分けられるの好き。
「赤って200色あんねん!」

一文字隼人のショッカーの洗脳が溶けたときに、抑え込まれていた今までの哀しみの波が一気に押し寄せ、
それを超えて仮面ライダーとなる展開が、
「哀しみを背負う孤独なヒーロー」という仮面ライダーにおけるとても大事な要素をそのまま体現してるようでめちゃくちゃいい。


仮面ライダーの変身ポーズについては
「1号を演じていた藤岡弘、が怪我で出れなくなり急遽2号が生まれたが、2号役の佐々木剛がバイクに乗れないことから生まれた」
という有名な話があるけど、
その「2号から変身ポーズが始まる」という形を
「2号のベルトは改良型だから風いらん」という設定を加えながら踏襲する謎のドラマ版リスペクト。



キャストについて、池松壮亮は個人的にはもハマりきらなかったけど、
浜辺美波の凛々しさと徐々に人間になっていく演技は素晴らしすぎたし、
柄本佑の本郷猛と対象的に軽口叩きながらもアツい一文字隼人も最高。

斎藤工、竹野内豊、長澤まさみと、公開前に伏せられてたシン・ウルトラマンキャストもそれぞれいい味を出してる。

豪華なのよほんとシン・ジャパンヒーローズ映画。
演技に安心感ありすぎる。


そしてオーグメントですよね。
それぞれのキャラがしっかり立っててすごくいい。
思想をしっかり持っているキャラもいると思えば、そう見えないオーグメントもめちゃくちゃクセが強かったりして、
出演時間に関係なくどのオーグメントも強烈な印象を残していると思う。
最高。

緑川ルリ子はそんなオーグメントたちを「力を個人のエゴのために利用している」と一蹴。
ただハチオーグやコウモリオーグ、チョウオーグ、さらにはオーグメントではないが人工知能アイについても、それぞれの思想に基づく「より良い世界」の実現のために行動しているのであって、その点では思想が違うだけ。
そういう意味ではアンチショッカーの面々の活動にしても単に思想のひとつとも言えるし、この戦いは思想と思想、エゴとエゴのぶつかり合いなんよなーと思った。
まああらゆる戦争がそうなんだろうけど。

この辺の敵キャラについては、コミック版で深堀りされているとのことなので、近いうちに読んでおきたいと思う。
とりあえず映画を見た段階でのそれぞれのオーグメントについての感想。


クモオーグ
「人間に戻りたいというくだらない理由でプラーナを放出した」というセリフや、自らの手で殺すことの喜びを語るセリフなど
ものすごい独特な思想の強さを感じるし、
あの丁寧な感じは間違いなく山本メフィラスの系譜。
一番最初のオーグに持ってきて大丈夫なのかと思うほどの存在感。


コウモリオーグ
どっかで聞いたことあるうざい声(褒め言葉)だなと思ったら手塚とおる。
操った人間を一気に自害させるところは圧巻。意味なかったけど。
マッドサイエンティストっぷりを思う存分出した後、戦闘は得意じゃないんやな…というのがわかりまくるどんくささもいい。
飛びながらの顔アップの映像だけ残念すぎた。


サソリオーグ
最高。この狂いまくったキャラを長澤まさみにやらせるとこも本当に最高。
一番出演時間短かったけど圧倒的な存在感を見せて散っていった。
この手数が長澤まさみの最高なところ。これには森山未來もニンマリでは笑(※1)
もう爆笑しかなかった。大好き。


ハチオーグ
働きバチのごとく「効率的な奴隷制度による統制された世界」を目指す思想と、武士道精神を感じられる戦いの礼儀が美しい。
西野七瀬の演技が素晴らしいっすね。ルリ子のことを友だちと思っているのか思ってないのか揺れ動いてるのか動いてないのか分からない絶妙な感じが良い。
アクションも良かったですね。


チョウオーグ
母を理不尽に奪われて、絶望の末にすべての人類を「理想の世界」に送るために行動する。
重い哀しみを背負った敵だからこそ、同じ哀しみを抱えた本郷猛と最後には対話で持って決着する。ここ見事ですよね。
通り魔を対話で説得しようとした父が殉職してしまい、「力があれば父があんなことにはならなかった」という信念を持っていた本郷猛。最後の闘いは父と同じ対話で決着するという。
結局本郷猛も死ぬことになるけど、父とは少し違う。

ここで森山未來かー!!ってなった。
蝶っていう舞うイメージの美しさにピッタリの配役では…。
戦闘シーンでの動きは完全に森山未來のコンテンポラリーダンスの才が存分に発揮されてるよなこれと思ってたら、やっぱり。
本作は俳優本人のアクションもかなり多いとのこと。



最強っすよこの大クセキャラたち。
コンパチヒーローみたいなゲームじゃなくて無双みたいなのでみんなプレイアブルにしてくれや。
長澤まさみで無双したいわ。



私みたいなライトなファンではないライダーガチ勢からしたらまだまだ推せるとこあるだろうから、
そこはツイッタランドでガチ勢のツイートが流れてくるのを楽しみにしてます。
頼むぞ、劇場に大量にいたおっさんとオタク!
さいこうのえいがたいけんはきみたちにかかっている!







安田顕と

仲村トオルが

何役だったか

分からない








※1当時清純派女優というイメージの強かった長澤まさみの、俳優としての転機と(勝手に)言われているのが『モテキ』らしい。森山未來は長澤まさみの清純派時代の代表作『世界の中心で、愛をさけぶ』でも『モテキ』でも共演している。ということころからのネタ。
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