Chunkie

シン・仮面ライダーのChunkieのネタバレレビュー・内容・結末

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

 恋は盲目、まさしくそんな感じだと思う。2回目をTOHO新宿のIMAXで観ているとき、思わず口に出して「うわ、好きかも」と言ってたかもしれない。

 正直、観る前はめちゃくちゃ不安だった。いわゆる平成二期の『~W』から出戻り組の自分は、その頃から時々母親の同僚で生粋の昭和ライダー好きに誘われ、何度かそのキャストや関係者が登壇するイベントに参加していた。

 そんなことをしていたので、ニチアサをリアルタイムで観るのと平行して初代を追って、演ってた役者から一文字好きになったり、実際に佐々木さんや治郎さんと飯を食うチャンスをもらったりもして、着々と色に染まっていっていた。

 だから、製作発表を目にした時、良くも悪くも笑えたし、メインキャスト発表の時も、一文字が出ると分かったときも、マジで大丈夫なのかと。友人と初回待ちのバルトのロビーでもビクビクしていた。

 初見時は困惑した。冒頭のクモオーグパートから、この映画のテンションに「マジかよ」と思いながら、呆然とただスクリーンを観ているしかなかった。

 結構影響を受けやすく、流されやすいタイプが故、帰りのラーメン屋でまだ消化しきれてないなかで、同行の友人の芳しくない感想を聞いて、そうだったかもとも思ったし、頷ける部分もあったので、自分も否側に傾きかけていた。

 翌日、溜まり場で感想会をしている友人たちと分かれて、数日前予約していた2度目を観に行く。気持ちを落ち着かせたいのもあり、ポップコーンセット有りで臨んだ。

 1度目ではただただ面食らっていた暴力描写も、その後の目まぐるしい勢いの展開も、何故だか心地よくなって来ている自分がいた。

 多少ミスマッチな部分もあった音楽も、あまりらしくないCG多用のアクションも、台詞過多のわりにあまり奥行きのない話し運びも、全てが愛おしく感じてしまった。誤用かもだけど、劇画調の今作ならアリなのではと思えてきた。

 もちろん手放しで褒めるつもりはない。クライマックスの対イチロー戦は'00年代の日本映画の悪いところ見本市みたいでチープで観てられなかった。

 アンチショッカー同盟の2人もその名を継ぐには.....というところもあった。何より、2+1号がサイクロン号で駆けていくラストシーンで「レッツゴー!!ライダーキック」を絶対に流すべきだった等々。

 ただ、この不完全で不揃いなこの作品にどうしようもなく惹かれていっている自分の気持ちが、今は抑えきれなくなっている。

 ダメだと言われているところも理解できる。そこに反論出来る言葉は持ち合わせていない。それでも、気色悪いと言われても、この映画を愛してしまっている。スコアや点数では言い表せない、理屈抜きの感情を、今は大事にしたい。

 この作品に出会えた自分は、間違いなく幸せだ。


 1回目:3/17@新宿バルト9 SCREEN6 Dolby Atmos 全国最速公開記念舞台挨拶中継付き上映
 2回目:3/18@TOHOシネマズ新宿 SCREEN10 IMAXレーザー
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