真田ピロシキ

そして、バトンは渡されたの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

そして、バトンは渡された(2021年製作の映画)
1.5
今日は実家泊まりで暇で新聞のTV欄を見たら聞き覚えのある映画があったので話も知らないまま何となく鑑賞。

見ててまず思うのは悪人のいなさ。石原さとみは最初魔性の女のように言われてて保険金は高額にしといてねと口にしてたので彼女が悪役なのだろうと思ったのに、シングルマザーになって血の繋がらない娘を不器用なりに真剣に育ててる。別れる原因は突然ブラジルに行くと言った父親が悪いので非がない。その後、お金目当てで結婚した金持ちのおじさんにこれは間違いなくイジメ役だろうと見当をつけるんだけど、この人も理解のある普通に良い人。自分勝手な都合で出ていくことも気にしない。その後ずっと育てる森宮さんは見た目通りバカがつく程の善人。意地の悪かった同級生とも打ち解けて仲良くなり悪人のいない世界でちょっと不気味だぞ。でも血の繋がりでなく様々な人の縁で子供が育っていくのはそう悪い話でもないんじゃないかな。ボケーっと見る分にはこのぬるま湯も心地良い。そう思ってたのに殺して感動かよ。見て損したわ。一度ケチがつくと大らかさは失われて、皆して娘のためとか娘のおかげとか言ってるけど、何かと子供を自分の動機にして美談にする大人の気持ち悪さが鼻につく。ウルトラグロテスク感動ポルノ『湯を沸かすほどの熱い愛』よりはマシだが、親子愛をダシにしたくっさい御涙頂戴映画(しかも泣けない)にしか思えません。ろくに見てもいないくせに日本映画をバカにする映画ファン気取りの連中が嫌いですけど、これはそういう人達が槍玉に上げる典型的な邦画としか言えません。こういう映画撮るのやめようよ…こんなのが受けるんじゃあまりに貧しい。

追記:原作では石原さとみの役は死んでないと聞いて感性の下劣さに慄いている。更に0.5減点。人の生死をドラマを盛り上げるための道具としか思えない奴は3流。恥を知れ。