映画の序盤は、『この映画って、井口昇的世界(特に、片腕マシンガール以前)の作品なんだろうか…』
と思いつつ、第二章「適応」に突入すると、
『適応しているのは、“異物”の方ではなく、人間の方なのかな?』
というパラドックス感を抱き。
第三章「増殖」では、ダンカンというお笑い芸人がキャスティングされているせいか、コメディ(あるいは、パロディ)的な要素が散見されるも、
最終章「消滅」を前に、文字通り“消滅”してしまう。
そして、ラスト、これまでの空気感とは一転して、ややシリアスモードの中、束の間の邂逅を果たすものの、
結局、“アイツ”と称された異物は、多くの謎を残したまま、終幕を迎えることに。
各章、それぞれテイストが異なっているので、人によっては、「何がしたいんじゃ、コラァ!!」(長州力風)
と若干なるかもしれないが、最後まで通して観れば、意外にも、“美しさ”を感じるのではないだろうか。
終演後のリモート舞台挨拶で、宇賀那監督が描きたかったものが、「不条理もの」であったことや、
ダンカンの演技は、リハーサルとも違うアドリブの連発であったことを知る。
ちなみに、最初の章で、元BOYS AND MENの田中俊介がフルヌードを披露しているので、ファンの方にとっては必見かもしれない
ということを記しておく。