歩く足音。呼吸。私は犬が好きだな、本当に好きだ。
冒頭の映像から、"おー、良いね、器用に道を見つけ…まって?これどうやって撮ったん?"
と思わず驚くアングルで犬と共に歩き始めることができる。
物語の舞台はトルコ・イスタンブール。
20世紀初頭に大規模な野犬駆除が行われた後、それを市民が厳しく批判し、現在では犬や猫の殺処分ゼロの国となったそう。
街全体が犬や猫の住処となり、人々は野良犬や野良猫と共存している。
本作はそのこたちの姿を追い、ほぼ全編わたって犬たちの目線で街の現実を知ることができるドキュメンタリーです。
この貴重な映画が日本で公開される際、前売り券の一部が保護犬の支援団体に寄付され、前売り券を買うことで微力ながら寄付ができることは本当に幸せでした。
特にフォーカスされる犬は、ひときわ存在感を放つ大型犬のゼイティン(この物語の主人公)、ゼイティンと共に行動することが多いナザール、甘えん坊の子犬カルタル(サリ)。
本当に、ずっと見つめていたくなる豊かさでした。
最後の遠吠えは、まさに神々しかった…。忘がたい。
犬と人間の絆を描く映画は数多くありますが、これほど切実な関係性を映し出すことができた映画がこれまであったでしょうか…。
確かに彼らは共に生きていた。そこがどこであれ彼らの居場所だった。
みんな今どうしているんだろう…。イスタンブールを以前より身近に感じます。
どうか自由に暮らしていて欲しい。安寧を祈るばかりです。
いつか行ってみたい国。