このレビューはネタバレを含みます
物語の核としては『さよなら渓谷』を彷彿させるような関係性だった。敵意と挑発と嫌味がほとばしる小夜（萩原みのり）の言い回しと、何を話しても常に笑っていない目が夢に出てきそうなレベルで印象に残る。なるべくなら人生で関わりたくない種の激ヤバ案件。
ただ映画が進むにつれて、彼女をそこまで追い込んだ過去が明らかになっていく。そしてその過去に囚われるのは小夜だけにとどまらず、「関係者」たちはいろんなやり方でその過去をほじくり返されていく。「無関係」の無責任な者たちから。
それにしても私利私欲に忠実すぎる人ばかりなのには驚いた。特に自称・小説家志望の女の子がやばい。
ただ一人、周囲を赦して受け入れてるのが姉のアスミ（柊瑠美）のように見えたわけですが、そんな彼女にも自負があったことが明らかになる。自分と他者の二者がいた時、「どっちが上でどっちが下か」という値踏みをナチュラルに行う人たちの世界を描いたような作品でした。マウンティングという表現よりももっと直接的な、格とか見下すとかそういう「上下」の部分がエグい。
木口健太さんを観るのはクズ男の役が多い…今回もよかったです。
