織田

四月になれば彼女はの織田のネタバレレビュー・内容・結末

四月になれば彼女は(2024年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

──私たちは愛することをさぼってしまった
──手に入らないものだからこそ愛することができる
──人は、近くにいる人を、さらに言えば自分のことを一番わかっていない

愛についての持論を言語化してくれる表現が新鮮。ただし基本的に「何が良いか」ではなくて「何が駄目か」の論調が多いため、過去を割と引っ掻き回される。
2年もすれば愛は情に変わる、という一般論が劇中では語られていて、関係はこうして冷えて行くんですよという苦さが印象的だった一方、この文脈では『ほつれる』というとんでもない傑作があり、また『花束みたいな恋をした』や『劇場』とかの方が個人的には解像度が高い。

結局"三人目"の登場により二人が復縁するという既視感のある話なんですが、いちいち行動が大袈裟だったりスケールが大きすぎるのもあって登場人物に移入できないままだった。車の中島歩に「ちょっと寄って欲しいところがあるんだけど」って言った行き先が全然寄り道レベルじゃなくて引く。
そもそも引っ越した後の住所に10年前の元カノから当時を懐古する手紙が届くのはさすがに不穏だし、その元カノの結末が壮絶すぎる。結果的にそれは二人が愛を再確認するための鍵になったとはいえ、弥生は背負わなくていいものまで背負わされたようで気の毒だった。

序盤に近年の結婚観を弥生が引用し、タスク(仲野太賀)も"添い遂げる愛"を諦めたと話し、恋愛しない生き方もあるよねという流れかと思ったものの、愛の讃歌に落ち着いたのは意外。これを観た人はやっぱり恋愛っていいよねとなるのでしょうか……

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・花は父親か彼氏かを選べなかったわけだけど、実家通いの大学生だとああいう風に親から離れて自由になれるか否かというケースは確かにあるよねと思った。家庭環境とかは関係なく。

・死ぬまでに行ってみたいウユニとプラハ(とブラックサンドビーチ)が出てきたのは胸熱だった。もう少し長く観たかったです。
織田

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