しゃおりん

成れの果てのしゃおりんのレビュー・感想・評価

成れの果て(2021年製作の映画)
3.8
なんや小夜が主人公かと思いきやお姉さんが主人公だったのかもな。

「成れの果て」
一つの事件に関わった人間達それぞれの成れの果て。
事件の被害者はずっと被害者。
加害者は忘れたい、許されたい。
事件を知っている人たちはネタにする、利用する。
被害者の家族はーーーー。

事件を経て数年来に再びあい見える人間達の感情が痛くて辛くて。感情の昂りと共に抑えていた各々の汚い醜い本音が吹き出る様がリアルだった。その本音を聞いてしまうと、多分自分が当事者だったら同じこと思ってしまうんじゃないかと考えて嫌な気分になった…。

最後のお姉さんの怨嗟剥き出しのシーンは震えた。そうか、あなたが一番許せないのはそこなのか、と。
きっと本作において彼女が一番グチャグチャに引っ掻き回された感情を蓄積させていると思う。
最後のメイクシーンは完全に狂気なんだけど、それは最後の力を振り絞って新しい強い自分へ生まれ変わろうとする羽化のシーンなのか、美しい妹への憎しみからくる原動力なのか。

すごい映画だった。俳優さんも皆すごかった。
良い気分にはならないが、登場人物の機微をもっと慎重に観察するためにもう一度観たい気持ち。