インディーズ映画ハマったキッカケが『カメ止め』だからある意味原点回帰的な気持ちで挑んだ一作。
これ演劇文脈で言うと、別キャストによる再演版と呼称しても良い位もう完膚なきまでに『カメラを止めるな！』の様々なエッセンスが生きていたと思う。
ただ本作に唯一足りなかったのはオリジナルにおける後半をたたみかけるテンポ感。
正直、あのミラクルは上田監督にしか成し得なかったのかと再確認したな。
いや別に、別に決して「面白くなかった」訳ではない。
第一部の格闘シーンなどその後の展開が分かるだけにゲラゲラ笑えたし、あれやこれやのシーンが徹底的に研究され尽くして、忠実以上に再現されてたし、日本版のとちゃんと地続き感もあったし、どんぐり竹原さんも出演してるしで、この上ないリスペクト入った「カバー」なんだと思う。
ただオリジナルの後半のあの怒涛の展開がモッサリしてたかな？
ちょっとあの展開って正にもう理屈抜きにこのスクリーンにダイブしたいと思わせるような衝動的な面白さなんだよね。あのしゅはまさんの【ポンッ！】自体には何の意味もないがあそこに込められる意味にはとめどもない説得力があったし、テンポやリズム感が日本のギャグ漫画でもみているような感覚があったんだよね。
その辺の上田ルーツに関しては近作『ポプラン』にも繋がってくるんだけど日本マンガで育った上田慎一郎監督独特の映像センスに我々は熱狂したのだなぁと思ったりした。途中のあのフェイクなエンドロールのシーンとかめっちゃくちゃカッコ良かったもんな。
そこへ行くと今回のリメイクは伏線回収の場面など特に「説明的」すぎたように思う、丁寧に作られてたんだけど予めB級を目指すことの難しさをも感じたというか。
本作ほどリメイク困難な作品ってないんじゃなかろうか？とか色々思ったりした興味深い作品として位置づけよう。
いや、面白かったんだけど、「カメラを止めるな！」という作品はあの時期にあのキャストであのギミックとが絶妙に融合した、あの空気感で生み出された奇跡だったんだろうと実感した。
