スカポンタンバイク

ベネデッタのスカポンタンバイクのレビュー・感想・評価

ベネデッタ(2021年製作の映画)
5.0
凄い良かったなぁ。

ベネデッタの修道院サクセスストーリーと世界中のシスターの旦那イエス・キリストとの交信が、境あいまいに展開する本作は、最後までその真偽を明確にはしない。それは現代においても、宗教が「神の実在」を明確な根拠をもって証明した事などないからだ。つまりは、そもそもの大前提が常に揺らぎ続けている世界観なのだ。
そんな中でベネデッタという人は、「キリスト教」の聖書の文法に誰よりも忠実な存在である。そんな彼女が文字通り、神の地位を手に入れたなら、その人がどんな大罪を犯そうと、それを証明する術というものを使者は持ち合わせてはいない。その事実を受け入れられず絶望する者にも、ベネデッタは天国への道を示す。その様はキリスト教の文法において、どこまでも「神の身技」と呼ばざるを得ない。
結局のところ、それが宗教の美点であり限界なのだと思う。いや、本来宗教に救いを懇願する普通の人間の、忠誠の限界という事か。