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前科者のkahoのネタバレレビュー・内容・結末

前科者(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

森田剛の表現力を前にして観客にできるのは、眼前に突きつけられた感情の生生しさに、ギリギリと心を削ることだけ。その人物が秘めている意思や感情を、その小さな身体や台詞に乗せ尽くす圧巻の訴求力に惚れ惚れする。最高の表現者!早く次の作品が見たい。お兄ちゃん役ありがとう…。

阿川の拭いきれぬ無遠慮な説教臭さと彼女の物語、脚本の粗、“可哀想”を消費させようとする終盤の畳み掛けには些か疑問が残るし、あの妙に熱っぽいキスシーンも引っかかった。あんなにすぐ盛るのこわい。森田剛がいなかったら★3.0くらい。

中学生役2人の眩しいまでの清廉さが、事件の悲惨さを色濃く際立たせていて良い。
ばっちりお返事する猫。
リリー・フランキー!

それにしても国としての保護司の位置づけが理解できない。無資格無報酬?更生を支援する気ないんじゃないかとさえ思えてしまう。現行のやり方で何故保護観察の質を担保できると思えるのか。前科者と“普通の人間”をくっきりと線引して、現場の保護司の健気な情熱と彼らが支える前科者を「どうせ無意味、人間じゃないんだから」と高みから見下ろしているみたいな制度。
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