永遠の寂しんぼ

ディア・エヴァン・ハンセンの永遠の寂しんぼのレビュー・感想・評価

1.2
『これのどこに感涙しろと?』

個人的には2021年ワースト映画。
精神障害を抱え友人のいない孤独な主人公が、自殺した同級生の両親から息子の親友だと勘違いされ、色々周りから持ち上げられて嘘の友情ストーリーを大勢の前で話してしまう。そして調子に乗った主人公が嘘をつき続け、遂に嘘がバレて周りから軽蔑されますます孤独になりました、という話。僕には孤独な嘘つき少年の哀れで惨めな話、としか映らなかったけど、なんでこの映画はこれを感動的に演出してるの?

エヴァンの言動はもちろん許されない。でも孤独から抜け出したいと気持ちは同情できる。彼をそそのかした自殺したコナーという同級生の両親など周囲の人間も同じくらい罪深いと思う。自分のエゴの為にエヴァンを利用した最低な同級生とかもいた。それにこの映画の大衆の描き方はおかしい。この映画の大衆は美談の乞食だ。エヴァンの嘘を誰も疑わずにSNSで持ち上げて賛美する脳みそお花畑な奴ばっかりで気持ち悪い。唯一まともなのはエヴァンの母親だけど、エヴァンは『母親らしい母親がいなかった』とか最低なこと言ってるし。

こういうむしろ良くないことをしてるのに感動的な美談みたいに見せかけるタイプの映画が一番嫌いだ。ミュージカル映画としては歌詞の意味を考えなければ普通に良いと思うし、主人公エヴァンの歌声はとても綺麗だった。しかしストーリーは不快としか言いようがないものだった。エンドロール後のあのテロップは正気なの?こんな惨めな話のどこに『君はひとりじゃない』事を感じたらいいの?