新聞でも話題の作品だがドキュメンタリーとして駄作。
菅義偉が何者なのか?というテーマに沿って国会及びメディアの機能不全を批判する内容。
明確に政権批判をテーマにしたドキュメンタリーは日本では珍しい。その心意気は買う。が味付けがとんでもなく悪い。
所々でインサートされるアニメの趣味の悪さ、シーン転換で入る女優さんの寸劇のセンスの悪さ、状況を過剰に煽る下手なナレーションに閉口した。あそこ全カットした方がいい。
菅義偉が何者なのか?というテーマにしては菅義偉に関する証言が圧倒的に足りない。菅義偉を空っぽの人間と描いているが、この少ない素材では説得力がない。
政治評論家が「安倍さんには命がけで彼を守ろうとする部下がいたけど菅さんにはいない」と評していたが、掘り下げるのはそこだろうに。
本作で一番面白いのはノーカットでみる国会答弁の酷さだ。
国会パブリックビューイングでおなじみの上西充子さんの解説でみる国会運営のめちゃくちゃさ。NHKで巧妙に編集された国会と違う、そのまんまの国会。ラジオ、YouTubeで国会をチェックしてる人には承知だが、映画で知る人も多いのだろう。
監督のインタビューで本作で一番受けが良かったのはここなんだって。
つかこの面白さは上西充子さんの手柄だろう。
政権批判を意識する余りに上滑りしてしまったマイケル・ムーアの『華氏911』とか思い出したけど、本作と比べるのはマイケル・ムーアに失礼だろう。
慰安婦問題の賛否二派の膨大なインタビューを流すだけで否定派の異常さを浮き彫りにする『主戦場』のやり方は凄くスマートだったのだなと実感。