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東京クルドの一のレビュー・感想・評価

東京クルド(2021年製作の映画)
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在留資格を持たない“仮放免”の身のまま10年以上日本で暮らしているクルド人の若者二人に密着したドキュメンタリー。入管法改正(改悪)の議論に合わせての緊急公開ということで、当然観ているあいだ怒りや歯痒さに震える瞬間は多々あるが、同時にティーンの青春映画たりえているところがこの作品の間口を広げている。そして、比喩ではなく彼らを“どこにもいけなく”しているのはどこのどいつなのか。「帰ればいい」「他の国へ行けばいい」、隠し録りされた入管職員の言葉には絶句。日本って国がホントに恥ずかしい。序盤に入管の収容施設の窓から遠く覗く人影の禍々しさ、終盤に同じ場所からカメラに向かって手を振るクルド人メメットさんの小さく映る姿、どちらも印象深い。とりあえず『ルポ入管』(ちくま新書)明日買いまーす。
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