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死霊のはらわた ライジングのblacknessfallのレビュー・感想・評価

3.6
アクション・スプラッター・ホラーの金字塔『死霊のはらわた』の新作。何作目になるのかな?

例の場所っぽい湖畔に浮上する例のヤツに取り憑かれた女性、バッグにタイトルがドーンと現れるオープニングは鳥肌モノのかっこよさ!期待は膨らんだね。

オープニングがピークだった、、でも、数年前のリブートよりは良かったよ。あれはやたらと痛覚を刺激するフィジカルな痛みばかり強調されてダウナーな作品だったけど、本作は本家の躍動感のあるグロいアクションを大事にしてるから。
それでいながらに都会のマンションが舞台。本家のアッシュにあたる主人公が女性で彼女の姉が例のヤツに憑依され、姉の子供3人を守りながら姉と戦うストーリーは現代的で新鮮味があった。
終盤にはマンションの他の住人達もアレになってしまい彼女等に襲いかかるという危機的状況になる。それを本家的なソリッドてハイスパート・アクションで派手なスプラッターも炸裂して、最後はアッシュさながらにチェーンソーで締めてくれる。本家の旨味と現代のホラー性のバランスに優れていたと思う。

本作で一番いいなと思ったのは今まで単に事が起こるキッカケに過ぎない位置づけの「死者の書」にスポットを当てけっこう有効に使ってたとこ。禍々しい装丁に陰惨で冒涜的な残酷絵がいっぱいで、パラパラとペイジが捲れその残酷絵のまんまの事が起こるシステムは恐怖と不吉なムードを煽る効果抜群でよかった。
あと、この本、一応ラブクラフトの「ネクロノミコン」て設定になってる。絵のタッチをそれっぽくしてるのもよかった。

それなりに見所も多くて本当に悪くないんだけど『死霊のはらわた』的な視点でいうと食い足りない。
エンジンのかかりが遅い。タメが長い気がした。段々と主人公の姉が憑依されてる事実が明らかにされていくんだけど、ここが『エクソシスト』みたいにじわじわ恐怖を積み上げる演出で時間掛けすぎに感じた。早くドタバタスプラッターに移行して欲しかった。
そのドタバタスプラッターも本家の監督であるライミはマルクス兄弟とかバスター・キートンに影響受けてて動きで笑かすことに拘ってたんたのにそういうギャグがなかったのが残念。
何かと姉に依存して生きてた主人公が魔物になった姉と戦うことで精神的自律も獲得するという中身があるストーリーが故にあまりふざけるとトーンがおかしくなるてのも分かるけど、メインはどっちなのかてことを考えて欲しいよな。
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