"悪い父親よ…でもパパが大好き…友達ならよかった…
"なら、友達として手を貸すのよ…"
父が脳卒中で倒れた…エマニュエルに突然届いた知らせ…辛くも命は助かったものの、父アンドレの身体には麻痺が残り、自由が効かない…その現実を受けとめる事ができないアンドレは、エマニュエルにこう頼んだ…"全てを終わらせてくれ…"
安楽死・尊厳死を真正面から扱っている本作ですが、アンドレ・デュソリエが演じた父アンドレが持つ独特なユーモアもあって、重すぎることはなく、かと言って感動を押し付ける訳でもなく、頑固な父親の最後の我儘を不本意ながらも支える姉妹の姿は、その奥底に父への愛情が深いだけに、何だかほんわかした雰囲気が作品に漂います。
生きることと延命は違うと死を自らの意思で選択したアンドレですが、尊厳死には金が掛かる…劇中での貧乏人には死さえ選べないかのような言い草には、かなり嫌〜な感じを覚えてしまい、感動作的な売り方ではありますが、かなり毒のある作品であるとも言えます。
ソフィー・マルソー凄いですね。
難しい役どころを時に軽やかに、時に切なくそして気丈に演じていて、その美しさは眩い…
ジュラルディーヌ・ペラス演じる妹パスカルとの絡みは姉妹の絆の深さを感じざるを得ません…
ただ、あの独特な性格で余り良い父親とは言えなかった父親に対しては、素直な愛情表現であった姉妹が、母親に対しては何処となく冷たい対応な気がして…母クロードが病気であることや父がやたらと妻と義理の両親を嫌っているのも気になるし…アンドレは何となくゲイ？って感じもあるし…でも家族に愛情深くて…何だか不思議な家族…
結局、警察に通報したのが誰だったのかは、劇中では判然としませんが、私の直感ですけど…アンドレの妻であり、エマニュエルとパスカルの母であるクロードのような気がしてなりません…
