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続・夕陽のガンマン/地獄の決斗 4K復元版のsymaxのレビュー・感想・評価

3.9
"世の中にはなぁ、二種類の人間がいる…縄を首に掛けられる奴と切る奴だ…"

南北戦争でアメリカという国が分断されている最中、三人の凄腕ガンマンがいた…それぞれ…良い奴、悪い奴、汚ねぇ奴だ…

"悪い奴"エンジェルは、殺し屋…25万ドルもの金貨の行方を追っている…"良い奴"ブロンディは賞金稼ぎ、そして"汚ねぇ奴"トゥコは賞金首…ブロンディがトゥコを捕まえ、首吊り寸前で助けて賞金は山分け…だが…所詮はお互いを信頼していない二人…分け前で揉め、あえなくコンビは解消…偶然、瀕死の男から隠した金貨の話を聞き、二人もその行方を追う事に…こうして、25万ドルもの金貨を巡って、三つ巴の争奪戦が始まったのだ…

"ドル三部作"4K修復版、コンプリートと相成りました。

三部作の中では最も尺が長い作品であり、中弛みしそうなところ、今作はイーライ・ウォラック演じる"汚ねぇ奴"トゥコというキャラの存在がある事で、ユーモラスな描写も多く、全く飽きる事がありません…"ルパン三世"っぽい感じもあるような気がします。

トゥコは、悪党でズルく、汚い奴なんですが、時に哀愁も感じさせる背中を見せ、実に人間臭く、憎めない奴…本作の真の主人公なのでは?と感じます。

最後の三つ巴の決闘シーンが有名ではありますが、私のお気に入りは、トゥコが"リボルバー"と叫びながら、店主が出してきた銃を一丁一丁確認して、良い部品だけを分解して一丁に組み立てるシーンなのですが、コレがめっぽうカッコいい…

"良い奴"イーストウッド、"悪い奴"リー・ヴァン・クリーフだけであったら、こんなに面白い作品では無かったのではないかと思います。

三人が時に手を組み、騙し合い、敵対し、良い奴にも悪い奴にも汚ねぇ奴にもなるという構図を見せ、セルジオ・レオーネ監督の非凡さをイヤという程見せつけられるのです。

唐突に始まる南北戦争の戦闘シーンが更に本作の奥深さを持たせ、死に行く大尉や名もなき兵士を看取るイーストウッドの姿に監督の意図が色濃く出ているようです。
…そして、万を期して登場するポンチョ…完璧…

…まぁ、一番の悪党は、イーストウッドなんじゃないかと突っ込みたくはなりますが…
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