よねっきー

レッド・ロケットのよねっきーのレビュー・感想・評価

レッド・ロケット(2021年製作の映画)
4.5
やっぱりおれ、ショーン・ベイカーの描く「迷惑な人たち」をどうしても嫌いになれない。『フロリダ・プロジェクト』のヘイリーもそうだったんだけど、人に迷惑をかけるダメ人間たちは彼の映画のなかで愛すべきヒーローである。おれは映画内の善悪を、どうしても客観的にジャッジできなくなってしまう。

撮影も編集も巧みで頼もしい。ふざけたズームの使い方も良いし、ストーリーの大胆な省略はもはや堂に入ったもの。小気味よく意表を突いてくるんだけど、やりすぎで浮かれてる感じは決してしないからすごいよな。暗がりの光を捉えた映像のザラつきが美しいし、夜中の16mm撮影はザラつきすぎてモザイク代わりになったりしちゃうもんだからウケた。映画のノリはかなり軽いが、軽いノリでは決して撮れない映画。

サイモン・レックスの演技も良かった。クズ男ではあるんだが三枚目としてどうしても憎めない。ジェットコースターでの狼狽え演技は絶品。めちゃくちゃ笑ってしまった。

主人公のマイキーは『わたしは最悪。』のユリヤに比べて何倍もWorse Person in the Worldだとおれは思うんだけど、個人的にはあの映画よりもこの映画の方が何倍も最高。映画の強度がぜんぜん違うもん。ショーン・ベイカーやっぱ大好きだ、新作を求む!
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