RYUYA

レッド・ロケットのRYUYAのレビュー・感想・評価

レッド・ロケット(2021年製作の映画)
4.5
“無一文で地元に帰ってきた元スターの落ちぶれ野郎”を描く大体の映画は、「再起を」とか「人として成長」みたいな話になるが、信頼の漢・ショーンベイカーはそういったストーリーテーリングの職務は道端にポイ。ここはテキサス。今じゃ薬を飲まないとヤレなくなっちゃったおっさんポルノスターが別居中の妻の家に寄生し、質の悪いハッパ売って凌ぎながら、ドーナツ屋のJKをはべらかし、家に帰ってはまた妻とヤる。「たった2時間でクズが変わる」と「たった2時間じゃクズは変わらない」の映画だったら、僕は後者が好き。この映画、大好き。フィルムをつたって、テキサスの夏の匂いがする。灯油とドーナツとマリファナが混じった匂いがする。アングルとかも、誰にも似てなくてめっちゃくちゃ面白いんだよなー。暗い部屋で見るテレビの点滅が、面白い照明になってたりとか、演出に余裕と遊び心があって最高。終盤、1人の大人が大人数の大人にちゃんと怒られる腹ちぎりシーンが待ってます。なのに『卒業』のラストみたいな絶妙なラスト。ああ好き。
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