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レッド・ロケットのseishirowのレビュー・感想・評価

レッド・ロケット(2021年製作の映画)
4.5
とある太宰作品の一節に「頬の赤い村娘を欺いて…」というのがあるけど、この映画の主人公は基本的に女は騙す、利用する対象でしかないよう。自分のことで精一杯で、他力で成りあがる夢を忘れられないでいる。ロスで上手くいかなかったのもそういう人間関係の澱が積もり積もったのだろう。
とはいえショーン・ベイカー監督の作品はヒリヒリするが見易くもある。大枠として貧困の悲しさ等を扱うので気分が落ち込みそうになるけど、適切に、表情の機微とか、話の流れ的に見ておきたいものを細かく逃さず見せてくれる。この映画でいうと冒頭の村娘はテキサスのドーナツ屋のストロベリーちゃん。夢は続くのかしら。
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