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枯れ葉のseishirowのネタバレレビュー・内容・結末

枯れ葉(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

僅かな賃金をあてに生きている男女が出会う、カウリスマキ的ストーリー。仕事を失うと途端にコーヒー代すら厳しいような生活だが、へこたれずにすぐ次の仕事を探して飛びつくのはバイタリティか生活力か。なんやかんやあって、世間が何も変わってない中、再び前向きに歩き出すという物語にもどかしさを感じる。でもきっと彼らはなんとかなるのかな。
しかしながら同監督の敗者3部作より薄味に思えるのはなんでだろう。朴訥とした人たちと静かなユーモアは変わらず。
監督のインタビューでも言及しているが、劇中、ロシアのウクライナ侵攻が影を落としている。ラジオをつければそればかり。ヒロインのアンサがとうとう「酷い戦争!」と吐き捨てる。
清貧というか、皆が貧しい中でこそ人間愛が強調されるような、監督の、けして共産趣味ではないがいわば共産時代懐古趣味的な味付け(日本に当てはめればそれこそ小津作品の時代背景や、自分は見たことないけど三丁目の夕日的な時代感)がカウリスマキ作品にはあるのかもしれないけど、そんな中でソ連の亡霊が戦争を引き起こしたことが引退していた監督に再びメガホンを取らせ、上記のセリフをいわせたのかな、と思うとこの作品はそれがすべてと言っても良いかもしれない。

割引でも何でもない日に席取ってなんのクーポンも使わなかったけど、映画は今は二千円もするんですね🥲パンフは900円の価値はあった気がします。
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