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ニトラム/NITRAMのデイのレビュー・感想・評価

ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)
4.8
続けてジャスティン・ガーゼル監督作品を鑑賞

とても好きです!!
監督自身は1990年代にオーストラリア タスマニア島で起こった銃乱射事件の実話を元にこの作品を手掛けたそうで
監督が訴えたかった事は"反銃社会"だとの事ですが

乱射事件の犯人とされているマーティン(ニトラム蔑称)を描いていて
私はマーティンに寄り添ってしまいました。

少年の心のまま大人になってしまったマーティンは周囲には馴染めず
大好きな打ち上げ花火を毎日上げては
近隣からの罵声を浴びている。

母親は"普通じゃ無い"マーティンに対して
とても冷たい。
に対し、父親はマーティンに振り回されながらも温かくマーティンを見守っている。

マーティンの夢はサーファーになる事
でも
「どうせ、やりもしないくせに」
と母親からサーフボードを買い与えるのを拒否されてしまう。

ある時、
マーティンは大きな家に1人暮らしをしている50歳のヘレンに出会う。
ヘレンはなんの差別も抵抗も無くマーティンに接してくれて とても優しい。
それはマーティンが純粋な子供のままの心の人だからなのか…。

マーティンは家を出てヘレンの家で暮らす事を決意。
念願のサーフボードも手に入れるが…。

海岸で出会いバーで出会ったサーファーの青年

マーティンはサーフボードを抱え波の中に入るが
やはり波に飲まれてしまう。
海の中のボゴボゴという音と呼吸の泡

社会の隔たり
母親との隔たり
そしてサーファーとの隔たり

マーティンの精神疾患は
抗うつ剤を処方されて飲むぐらいしか描かれて無いけれど
果たしてマーティンは狂人なのか…

マーティンにとっては"些細なイタズラ"によってヘレンを事故で失い
マーティンの父親は長年の夢が叶いそうなところで、その夢が手の指から溢れるごとく失ってしまい失意のどん底に…
そして、自ら命を絶ってしまう。

マーティンなりに父親の葬儀に正装して来たつもりだったのに
「恥をかかせ無いで」
と母親から葬儀の参列を拒否されてしまう。
(酷い…)

マーティンが銃を買い漁る衝動が出たのは?(お金はヘレンの遺産でたっぷりと手元にあった)

実際に行動に移してしまったのは
TVニュースで流れていたスコットランドの銃乱射事件のニュースを目にしたから?

実際の映像は流れない。
冒頭の打ち上げ花火のドンドン!!という音と銃声を掛けていたのかな?

事件を知って母親は何を思ったのか…。

マーティンひとりの問題なのか
社会の問題なのか(監督か言いたい事)
母親の問題なのか…

確かに自分の子供を愛せない母親は世の中にごまんといる。
母親なりの愛情もあったかもしれないけれど
母親目線での"普通"
普通に仕事をして、恋愛をして、きちんとした大人の行動を取り…
それが出来ないマーティンだからこそ諦めて冷たく当たっていたのかもしれない。

スパッと終わるラストも好みでした。

問題を提起させる作品ながらも
私にとっては
どこか儚げで美しささえ感じてしまった
そんな作品でした。
(犯罪を肯定しているのでは無いのです)

そして、何より
マーティンを演じたケイレプ・ランドリー・ジョーンズが魅力的で、繊細な演技が光りました。


上手くまとめられませんでした🙏
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