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MEMORIA メモリアのBATIのレビュー・感想・評価

MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)
3.4
音とは空気の振動であり、太古から現在そして未来まで反響し続けている。人の肉体に響く聴こえる音はどこからきたのか。そこには歴史と事実がある。一個人の想像を遥かに超えたところに存在するのはそのアタック音。この映画も理解を超えたところに響いている。

「共感しろ」といいつつ共感を拒否している作品で、「映画というものを理解しようなんて傲慢なことを考えるな!感じろ!」と言わんばかりであった。映画としてのカッティングさえ拒否した作品で、ティルダ・スウィントンのアップは存在しない。携帯電話禁止のメニューが存在しない料理店のようだった。

これはこれで私は楽しい映画体験であった。録音はかなり力入れている作品なので、世界にはこんなにも沢山の音が聴こえているのだという掲示、そしてバンド演奏に耳を傾ける人々とバンド内のフィードバック、主人公が出会う人間たちとの共振(≠共感)、響き合うことに注力したように見えた。

理解したフリは出来ないので私が書けることはここまでになる。充分睡眠をとっていてもタルコフスキーばりに眠くはなるので、むしろそれに身を委ねながら観るのがいい。それも映画への共振だろうから。

理解や共感するフリよりも経験しろ感じろ!フィジカルだ!と「MEMORIA メモリア」は崖から突き落とすようで、私はそんなメッセージとして受け取ったぜ、アピチャッポン。
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