ペイン

パリ13区のペインのレビュー・感想・評価

パリ13区(2021年製作の映画)
3.8
🇫🇷の監獄版ゴッドファーザーとも言える傑作『預言者』や、パルムドール受賞作『ディーパンの闘い』等の骨のある作品のイメージが強い御年70の名匠ジャック・オーディアールが、『燃ゆる女の肖像』脚本家とまさかのタッグ。

其の実、このビッグネームから想像される気高く立派なおフランス映画というものからは程遠い、軽妙でライトに観られるセックスコメディであった。とにかく語り口からモノクロームの映像感覚含め軽やか。監督曰く、エリック・ロメール『モード家の一夜』における男女の駆け引きや、『マンハッタン』でウディ・アレンが捉えた魅力的な都市の情景にオマージュを捧げたそうな。

『燃ゆる~』に引き続きノエミ・メルランさんはエマ・ワトソンを彷彿とさせる輪郭の美しさで、お体の方にも思わずクギづけになってしまった。性にまつわる描写は勿論、なんてことのないイキイキとした若者たちの描写もフレッシュ極まりなく、作り手の感性の瑞々しさまでも物語っている。

多様性を含んだ愛にしっかり帰結するし、サクッと見られて、がら空きのレイトショーに持ってこいな良作でした。 
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