よねっきー

パリ13区のよねっきーのレビュー・感想・評価

パリ13区(2021年製作の映画)
4.7
エイドリアン・トミネの辛気臭い原作を3本組み合わせて、全く味わいの違う作品に仕上げてる。おれは原作もかなり好きなんだけど、この映画のことも相当好きだ。なかなかの意欲作。

画面がモノクロなところ以外は徹底して「現代」的に描かれてるのが素晴らしかった。現代フランスを舞台に紡がれる物語を、現代フランスの音楽に乗せて描く。それだけのことがどれだけ大切で尊いことか。「それやっちゃうんだ」と思うような大胆な演出もちょいちょいあるんだけど、浮ついた感じがなくて画面に馴染んでる。これはモノクロのおかげかも知んない。

エミリーとカミーユの関係性が好き。最後に叫ばれる「愛してる」の薄っぺらさには拍手を送りたい。あれが本当の愛かって言われたら違う気がするけど、2人ともきっと寂しかったのは確かなんだ。それでいいじゃない。
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