Mariko

スパークス・ブラザーズのMarikoのレビュー・感想・評価

スパークス・ブラザーズ(2021年製作の映画)
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結局観てきた。めちゃめちゃ面白かった。

子供の頃から10ccやクイーンが大好きだったしもう少し後にはフーにハマったりしてたので、系譜としては明らかに好きそうなのに今イチそこまで行かなかった(存在はもちろん知ってたし、曲も聴いてた)のは、私がポピュラーミュージックにどっぷりだった小学生〜高校生の頃には日本に彼らにハマるような土壌がなかったんだろうと思うと同時に、一連のテクノポップの中に埋もれていたのか、と仮の結論。

ポップ・ロックのドキュメンタリーにありがちな、ドラッグや精神をやられて破綻するようなくだりは微塵もなく、やってることがこれだけ先鋭的でありながら、至極真面目で愛にあふれた兄弟が自分たちの音楽をひたすらに続けてきた記録。

またこれをエドガー・ライトが最大限の愛情を持って作り上げたものだから、ユーモアとウィットに富んだ彼らの姿を愛でることができる極上の作品(ドキュメンタリーに止まらない)になっている。
「マーク・ボランとヒットラー」という表現が上手すぎて笑ったけれど、この二人の音楽的・キャラクター的バランスのなんと素晴らしいことか。ミュージシャンとしてはもちろんだけれど、それ以上に人間として魅力に溢れていることがこんなにも伝わってくることに驚きを禁じ得ない。そしてそのコメントを語るのが歴代のバンドメンバーやベックにフリー、トッド、ジョン・テイラーにニューオーダーの二人あたりはわかるとして、ファン?として出てくるのがジェイソン・シュワルツマンやマーク・ゲイティス等々の曲者俳優あたりになるとかなり唸る感じ、そしてエドガー・ライト自身も「ファン」として出てくるのが可愛すぎる。

個人的にツボったのは、ポールの ”Comin’ up” のヒゲのキーボードのモデルがロンだったこと(これは知らなかった!!)を皆がものすごく喜んでたところと、ロンのシンセがRolandのアナグラムでRonald(彼の本名)になっていたところ、これまた可愛すぎるセンス。

配信になったらもう1回観たいなあ。
Mariko

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