てづか

スーパーマン III/電子の要塞のてづかのレビュー・感想・評価

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個人的にはかなり好きな雰囲気!
オープニングからもう面白い。オモチャとか溺れた人を助けるくらいで、スーパーマンがほかの些細な日常のトラブルにはなにも干渉しないところが良い。

ロイスに関しては完全に終わったことにしたのは良かったと思う。あそこから引っ張ってもしょうがないし。
後釜のラナの立場も後悔もリアルな感じで良かった。田舎のヤンキーとくっつくと苦労するけど若気の至りで子供まで産まれてしまったら簡単には身動きとれないってのもよくあるよなーと。
ちゃんと自分に見る目が無かったってことを分かっているだけ好印象。

ただ、なんでスーパーマンはこの人を都会に連れていくのが前提で自分が田舎に来るのは考えないんだろうってのは気になった。

悪役はコンピュータ?
脳噛ネウロのHAL編みたいな感じで、日常が狂わされていく光景がシュールだった。グレープフルーツの果肉を顔面に押し付けるのはかなり笑った。地味に嫌すぎる。

"クラーク・ケント"が最高なのか、"スーパーマン"が最高なのか…想い人の何気ない一言から自身のアイデンティティに迷いを感じて葛藤するスーパーマンも良かった。でも全然ジメジメうじうじしてるわけじゃなくて、悩んでる過程でも笑えたのがとても良い。

そもそもクリプトン星人としての自分と地球人としての自分という矛盾にはずっと苛まれてはいるのかな?帰るべき故郷はもう無いってとこがやっぱり辛いよな。地球人として地球にいても、自分の居場所とは思えてない。1度は愛した女のために地球人になろうとしたけど、異星人としてのスーパーパワーがなければ大事なものは守れないし…。


っていうところで生まれた悪のスーパーマン、、、、、、、、ピサの斜塔をまっすぐにするなんて…………なんて極悪人なんだ!!!

カップ麺のタイマーを知らずのうちに止めてる母親くらい極悪。ジャンプじゃなくて赤マルジャンプ買ってくるおばあちゃんくらい極悪。

その他にもオリンピックの聖火消したりといった些細な極悪を楽しむ姿にはホッコリさせてもらった。

大衆ヒーローが守るべき人達から押し付けられる、ヒーロー像という名の妄想へのアンチテーゼなのかなっても思いつつ、やっぱ面白い。ニッコニコなんだもん、スーパーマン。可愛すぎるだろ。


クラーク・ケントとスーパーマンの戦いはすっごい良かったー!これこれ、これが見たかったの!
スーパーパワーがなくても、敵わない相手にでも、立ち上がって向かっていくその姿勢こそがヒーローなの!
2のラストでのモヤモヤがここのくだりで晴れた。満足。

あと普通に、クリストファーリーブさんはクラーク・ケントとしてのスーツ姿の方がえっちでステキです。Yシャツの下に隠れてはいるものの確かに筋肉がある感じ、好きです。

そして本当の自分を取り戻した時に流れるメインテーマでめっちゃアガる!!!

なんでこの映画の評価こんなに低いんだろー?
明確な敵ってのがいないからかな?
確かに悪役に魅力はあまり感じなかったなあ。でもそれは、自分自身の中に眠る悪と戦うっていう物語の構造上仕方がない気もするけど………。

ラストで、リチャードプライアーがスーパーマンの推薦を蹴って自分の道を"文字通り"歩き始めるところも素晴らしくて涙が出た。

スーパーマンじゃなくて、クラーク・ケントでもいいかな?と言ったときに心底喜んでくれるラナにも泣かされた。そういう女が最高だよ。

ピサの斜塔のオチも最高(笑)(笑)


悪い部分も本質的には持ちながらも葛藤し、善き人であり続けるという覚悟を決めたスーパーマン、クラーク・ケントという人間を好きになれる作品だったので私はこの映画好きです。
てづか

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