スタローンってスタイルいいなあ。
ボクシングとエイドリアン以外になにもない男というのが淡々と描写されていく前半がいい。
目のトラブルを抱えてボクシングが思うようにできなくても唯一の場所から離れたくない、、という切実な思いを、オーバーに描くのではなく静かに語っているところが真摯な感じがして好きだった。
周りからはプライドを捨てているように見えても、掃除係と揶揄されても…。
ロッキーの心の奥底では男としてのプライドがずっと消えることなく燃えている。
アポロの方の描写も良くて。
下手に判定勝ちしてしまったばかりにプライドを傷つけられ、ナーバスになって逆にロッキーに噛みつきまくる記者会見の様子なんかすごく良かった。自分の中でも、本当は負けたと思っているし。周りにもどう思われてるかもわかってる。2回目やったとして、勝てるかどうかもわからない。怖い気持ちもプレッシャーもある。それでも、チャンピオンとしてのプライドが今の現状を許せない。
自分も周りも納得させられるくらいに完璧に「勝利」しなくちゃ生きていけない。
なぜなら、彼もまたボクシングしかない人間だから。
試合前のアポロの出演シーンなんてすごく少ないのに、それらの葛藤や苦しみがちゃんと伝わってくるところがすごくいいと思った。
エイドリアンも、とってもいい女でだいすきだ。
ロッキーはきっと自分ひとりでもボクシングなんて続けていけるだろう。
でも、それ以外の全てがダメになってボクシングさえも奪われそうになったときでも、もう一度立ち上がれたのは、他でもないエイドリアンと子供の存在があったから。
ロッキーはエイドリアンのためなら自分の全てであるボクシングさえも捨てられると言った。きっと本当にそうするだろう確信があのシーンのエイドリアンにはあった。だって事実ボクシングよりも病床のエイドリアンを優先してくれたから。
でも、ボクシングを本当に捨てたとして………そんなのはエイドリアンが愛したロッキーじゃない。
だから、「勝って」、なんだ。
エイドリアンもまた、自分の気持ちよりもロッキーがロッキーであることを優先した、素晴らしいシーンだなと思った。
勝敗に関してだけど。私個人の感じ方としては…の話だけど。
自分ひとりで行ける場所なんてたかが知れてる。でも、大事に思う誰かと心が繋がってるなら、どこへでも行ける。世界一にだってなれるんだ。
ってことまで語っている感じがして凄いなと思った。
セリフでは全く語られないのに、感じるものが沢山あった。
いい映画だったなと思う。