Yukiko

明日をへぐるのYukikoのレビュー・感想・評価

明日をへぐる(2021年製作の映画)
4.0
2022年3月20日     映画上映会にて観賞
『明日をへぐる』   2021年日本制作
監督、今井友樹。

高知県いの町吾北(ごほく)地区。
土佐和紙の原料となる楮(こうぞ)の栽培から、和紙の
原料に加工し、製品化するところまでを、地域の人々に
密着し撮影したドキュメンタリー映画。


「へぐる」とは、高知の方言で、特殊な包丁で土佐楮
(とさこうぞ)の皮から表皮部分を削り取る作業の
ことを指す。
冬に収穫した土佐楮を、蒸して皮をはぎ、その皮の
線維が土佐和紙の原料となる。
100年以上前から続いている。

登場した人々に90歳の女性がいる。
農閑期、この地域の急斜面の山の畑で取れた楮を
へぐる作業をする。
貴重な収入源だが、年配の人々が作業をしている。
継承者がいないという現実、いずれなくなっていくのでは
ないかとも言われる。

土佐和紙の手漉き(てすき)工程や用途が映ってはいたが。

先日、秋田県の漬物、「いぶりがっこ」が改正食品衛生法
により、専用の製造所設置や営業許可の取得が義務付けられ、
廃業が続出する問題がテレビのニュースで報じられた。

此方も農閑期の貴重な収入源で、各家庭の年配の人々が
個人で作業をし、出荷している商品だ。
後継者がいない問題も同じで、その上衛生面に特化した
作業所の設置の問題で、設置費用が多額ということもあり、
いずれ個人での出荷はなくなっていくか、或いは
工場で均一の味つけをした商品が出荷されるようになるか。

いぶりがっこを口にするのは、数年に1度くらいだし、
和紙を手にするのは、もっと少ないかな。
両方ともに日本の伝統文化なのに、日常的に目にしない
商品だ。

だからこそ、このように記録映像のようにドキュメンタリーで
残していたら、後世の人々にとって貴重な映像になるね。
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