JunichiOoya

くじらびとのJunichiOoyaのレビュー・感想・評価

くじらびと(2021年製作の映画)
5.0
見逃していた評判作をようやく。
平日夕方の興行でしたが二桁のお客さん。

これはもう石川梵さんが現地に通い詰めた執念と、空飛ぶ写真家山本直洋さんの組合せが全てでしょう。
ドローンの的確な操縦ももちろん凄いけど、小舟に同乗して、くじらびとたちと一緒にくじらの背びれの一撃を浴びる映像には感服いたしました。

それにしても、空から(えっ? それって誰の視点? とかは別にして…)見ると、くじらとくじら獲りの小舟が同じに見えるのねえ。

「サポーター」というよくわからない役どころで、山田洋次さんがクレジットされていて、文化庁助成金映画感満載だし、どうなんだろう? だったけど杞憂でした。

くじらの血の色があれほど鮮やかなのは意外でしたが、彼らの尾ひれの迫力には、見ていて何度か声を上げてしまったほど。

先ほどの「サポーター」には関野吉晴、中村征夫、石川直樹(『Shari』!)、安田菜津紀なんかの名前も上がっていて、おまけにSDGsがどうたらって宣伝文句もあるもんだから、どうも損しすぎてるように思う。お客さんの層を見誤った?

ナレーションを廃して(それでも字幕はまだ多過ぎると思う)寡黙に、映像とくじらびとたる島民にのみ語らせようとした作りからして、もっと堂々と「見せたい人」に絞った興行で良かったんじゃないでしょうか。

ところで、インドネシアはイスラムの国、っていう、私の偏狭な決め付けを覆し、彼らが十字を切るシーンを繰り返し目にしたのもやたら新鮮でした。
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