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流浪の月のtakaのレビュー・感想・評価

流浪の月(2022年製作の映画)
3.8
幼児誘拐事件の加害者男性の文と被害者女性の更紗が事件の15年後に文の小さな喫茶店で再会する。それぞれにつき合っている恋人(?)がいるもののどこか心が離れているなか、次第に二人は近づいていく。私たちは二人の幼児期に受けた傷を二人の静かな会話とフラッシュバックの映像で少しずつ知っていくのだ。更紗は自分に同情することで独占,征服しようとする恋人(?)に言う。「私はあなたが思うほど可哀想ではない。」
被害者、加害者として刻印されたレッテルで生き続けている二人には、一人の人間としての尊厳が欲しい。その一点で二人は一緒に生きて行く道を選ばざるをえなかったのだ。さまざまな背景を持つ人を認めつつ共生していくという寛容さを失っている現代社会の告発にもなっている。映像も美しく、深い。
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