コマミー

ARGYLLE/アーガイルのコマミーのレビュー・感想・評価

ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)
3.7
【小説家を取り巻く様々な嘘と真】






"マシュー・ヴォーン"が「キングスマン」とは別の"スパイ映画"を作ると知った時は驚きだったが、ともかく完成した本作を鑑賞した。
とびっきり驚くシーンがあったり、いわゆる「新感覚」と言えるシーンはなかったのだが、本作もそれなりに楽しめたスパイ映画となった。製作の大元が"Apple"という事もあり、クオリティーが配信向きになってしまうのではと心配だったのだが、可も不可もなく、それなりに壮大なクオリティーの作品となって安心した。

"ベストセラー小説家"である"エリー"が、実際のスパイである"エイダン"の登場によって、その騒動に巻き込まれるという物語なのだが、実はこの物語には"幾重にも裏"があり、エリーがなぜ"預言者"と言われるのか?…そもそも自分が何者なのか?をスパイ活動を通していろいろ明らかになってくるというものとなっている。
感覚的には「キングスマン」の2作目「ゴールデン・サークル」やトム・クルーズとキャメロン・ディアスが共演した「ナイト&デイ」、更にアルトマンの「ロング・グッドバイ」を彷彿とさせるものになっており、"エリーの過去"やそれと関係する"敵組織の陰謀"との組み合わせが絶妙に面白かった。とはいえ、結構それも予測できてしまうのが玉にきずなのだが…。
一番驚いたのは、エンドクレジットの途中である"皆さんお馴染みの組織"が登場した事。これは明らかに匂わせてきているのが分かるが…これがどう今後監督とスタジオが展開してくれるのか気になるところである。

"ブライス・ダラス・ハワード"史上最も激しく動いた映画だったのではないかと感じた。「ジュラシック・ワールド」でも結構動いていたが、本作が一番体張ってた作品である。"サム・ロックウェル"とのコラボもそれなりにうまくいっていたし、何より"猫のアルフィー"がめちゃくちゃ可愛い。
音楽としては、あの"ビートルズ"の新曲「Now and Then」がふんだんに使われていたのがとても良かったし、"アリアナ・デボーズ"と"カルチャークラブのボーイ・ジョージ"、そして大御所ギタリストの"ナイル・ロジャース"がデュエットを組んだオリジナルソング「Electric Energy」がとても作品のノリにあった楽しい曲で、劇中で流れると踊りたくなるほどである。"音楽とのコラボ"もうまくいってるのがマシュヴォの作品らしくて好きである。

少々期待外れなところもあるのだが、スタイリッシュさは割と抜群だったし、物語も中々飽きさせない内容、そして音楽の使い方も最高、そーして、猫が可愛い映画であり、それなりに楽しめる新作だったなと感じた。

極めてマシュー・ヴォーンらしいスパイ映画なんじゃないかなと思います。
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