春とヒコーキ土岡哲朗

ARGYLLE/アーガイルの春とヒコーキ土岡哲朗のネタバレレビュー・内容・結末

ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

かっこいい上で変な角度を正面にしちゃうのがかっこいい。

かっこいいのに、かっこよさと別の方向に走ってるアクションシーンが最高。
序盤、列車内でのアクションで一気にテンションが上がった。何が起きているか分かっていない主人公の視点で、とにかく「慌ただしい」アクション。わんさか刺客が出てき続けるし、助けてくれている男は強いようでやられている瞬間は頼りなく心配、さらに主人公にはその男が小説の主人公と重なって見えて、2人の姿か切り替わり続けるという映像の慌ただしさもある。
クライマックスに差し掛かったダンス銃撃のシーンは、恥ずかしい恋愛のハッピー感に突っ走る。『キングスマン』のクライマックスに似たカラフルな銃撃で、最初はあのシーンをやるのかなと思ったけど、違う味わいだった。
そして、スケートのシーンが最高。あんな戦い方見たことない。主人公が笑顔で颯爽とすべっていく。舞えば舞うほど強い。まるでスケートの綺麗さで敵を倒してるかのごとく、スケートに集中している。
戦闘そのものも俊敏でかっこいいけど、主人公にとっては集中しているのが戦闘じゃない。映像的にも嬉しそうな主人公の顔と躍動感を見せて、戦闘のかっこよさじゃない方向を強く見せてくる。それが、戦闘シーンとしてかっこいい。あと、全アクションシーンやたらと音楽のボリュームが大きくて良かった。

後半は何度もひっくり返される。
父親として敵のボスが現れたところは『スパイダーマン:ホーム・カミング』に似た状況で、あの怖さの再現。そこから、実は主人公が小説家ではなくCIAのエージェントだと発覚。その説明の中で両親も偽物だと分かる。ここが一番大きなひっくり返しだったが、そのあともまだまだひねりがあって驚いた。主人公が自分の出自を受け入れて戦い始めると、今度は主人公は自分が悪人側だったという情報を見てしまう。主人公の正体が二度もひっくり返る。そのあと、主人公はそのまま悪者になってしまったように見えたが、実は主人公は善の心を失っておらず、悪のふりをしていた。ここで、主人公からの嘘に騙される。
小説に書いたことが現実に起きる予言者になってしまっている、という設定は説明もあっさりであまり掘り下げられないままだったけれど、それを捨てていいくらいの後半に差し掛かったところからサプライズラッシュだった。
最後にアーガイルが実在したのもびっくりだけど、これは深い意味はない飾りとしてのサプライズかなと思ったら、なんとミッドクレジットシーンで今作がキングスマンと同じ世界線の話だと分かり、エージェント・アーガイルが今後のキングスマンに登場しそうなフリがあって終わる。ワクワクはしたけど、せっかく『キングスマン』じゃない映画を観に来てたから、アーガイルが実在した、までで終わった方が気分はいい。