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ミラベルと魔法だらけの家のめぐのレビュー・感想・評価

ミラベルと魔法だらけの家(2021年製作の映画)
4.1
2022映画初めは、アナ雪無印以来のディズニーアニメーション@映画館!(あれが2013年?!怖……。)
本当は字幕版で観たかったんだけど、吹き替え版もすっごくよかった。

〇音楽
個人的MVPはルイーサ役のゆめっち。
彼女がリードボーカルを務めるsurface pressureは、ルイーサの自分にかかる期待で張り詰めた心の内を、豊かなメロディと壮大なアニメーションで表現した、とにかく圧倒される名曲・名シーン。
もちろん英語版の歌もめっちゃ素敵(YouTubeで見た)だけど、吹き替え版で観てよかったー!!となったのはこのシーンの存在が大きい。
日本語の歌詞一つ一つが、忠実にニュアンスが再現していて、毎度感嘆する。(🎶いつしかズンズン増してくプレッシャー、心がパンパンパンとはじけそう の部分が特に、音楽・ルイーサのアニメーションとの共鳴がだいすき)
そして何よりゆめっちの声に独特な太さと伸びがあって、役にピッタリ。エンドクレジットでゆめっちが演じてるって気づいた時、本当にびっくりした。(ルイーサの苦しみが痛いほどスクリーンから伝わってきて、完璧にプロの声優さんだと思ってた。)表現力あふれすぎ!!
あとは主演ミラベル役、斉藤瑠希さん。歌もセリフも本当に上手でした、歌の中に挟まる一言まで完璧な間合いと感情表現だった。このクオリティでまだ19歳なんて……!!これからもっと色んな作品で観たいです。

〇アニメーション
言わずもがな。世界のディズニー。素晴らしい色彩と迫力でした。中南米のカラフルで陽気な雰囲気がとても素敵で、いつかコロンビアに行ってみたくなったな〜。
個人的にはおじいちゃんとおばあちゃんが生き別れてしまうところがベストシーン。壮絶。

〇ストーリー
アナ雪の時にも思ったけど、近年のディズニー作品から「変わりたい・変えたい」というクリエイターの意思とメッセージを強く感じる。
私には、マドリガルのみんなは、今の現実社会で、苦しみを引き受けている人たちの象徴に見えた。

観終わってツイッターで感想サーチしてたら、こんな趣旨のツイートがあった。
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ミラベルと魔法だらけの家っていうかミラベルと余裕のない家族たちって感じだったな
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この感想観たときに、よくもあんなに壮大な作品をこんなに削ぎ落として矮小化できるな?!と残念に思った気持があったんだけど、よくよくこのコメントを反芻したら、ちょっと見方が変わって。

そう、これは余裕のない家族たち、つまりは映画を観ている私たちの話なんだよね。誰もがミラベル、ルイーサ、イサベル、ブルーノ、誰かしらの存在を心で感じたことがあるはず。
自分は持たざる者・疎外される者だと感じる瞬間、自分一人で抱え込まなくてはならない逃げられないプレッシャー、自分の在りたい姿と矛盾したものを求められる違和感……(これは現代社会の弱者男性や、女性に求めすぎ!な社会的役割の話にも通ずる)。
ディズニーが今描きたいのは、自分や、自分の周りに大勢いる彼らの存在、苦しみ、そして長年の呪いからの解放なのだと思う。
よくよく考えたら、登場人物も場所も序盤からエンディングまでずっと変わらないディズニー作品なんてほかに観たことない。ずっと不思議だったけど、これは、これから外の世界に飛び出していくのではなく、すでに今ここに生きている、私たち一人ひとりの話だからだ。
なので上にあるツイートを世に放って、作品に込められた想いに気づかせてくれた人、お礼を言いたい。ありがとう。笑
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