映画ネズミ

この日々が凪いだらの映画ネズミのレビュー・感想・評価

この日々が凪いだら(2021年製作の映画)
3.7
向いている人:
①最近職業・住所・家族・学年など周りの環境が変わった人
②もうすぐ周りの環境が変わる人

 映画コミュニティ「チネマット」のオンライン試写会で鑑賞しました。

 故郷を出て上京した主人公の青年が、恋人である女性と共に、住居の取り壊しや親しい人の死に向き合っていくというストーリーです。

 大人になること、変化することを強いられる主人公が、それにどうやって向き合っていくのかというのが本作のテーマです。

 大人になる、就職する、進学する、引っ越しする、結婚する。そこまで大きなことでなくても、学年が変わる、異動になる等、人生には環境の変化がつきものですよね。

 ストーリーとしては非常に地味で日常的ですが、誰にも共通する普遍的なテーマが少しずつ浮かび上がってくるからこそ、見るのをやめられませんでした。

 しかも、絶えず変化していく環境の中で、変わらないものもあっていい、むしろ変わらないもののおかげで生きていけるというのは、

 語り口も淡々としていて、台詞も大げさすぎず、誰かがテーマを声高に語ることもしません。約1時間30分というコンパクトな尺で語りきったこともGOODです。

 羊文学さんの音楽も、見終わった後、胸にしみます。

 主人公とその恋人を演じられたサトウヒロキさんと瀬戸かほさんの会話が、とても自然で印象に残ります。

 最近『空白』でも大活躍だった藤原季節さんも思いがけない役で出演されていますし、日本のミニシアター映画ではすっかりおなじみの川瀬陽太さんも好演されています。

 人生の岐路に、人はどのように向き合うべきなのか。

 環境が変わったり、もうすぐ変わる状況にあって、「これからどうなるんだろう」「これからどうすればいいんだろう」と思う全ての人にお勧めできる作品です!
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