なっちゃん

私ときどきレッサーパンダのなっちゃんのレビュー・感想・評価

私ときどきレッサーパンダ(2022年製作の映画)
4.0
見る前から好きなやつだろうなと思ってたけど案の定好きなやつだった。

スポーツ等マッチョイズム的趣味ではなくアニメやアイドルに熱中している子供は、ナードと見られ肩身狭いから、こういう作品が台頭するのは嬉しい。
自分が子供のときより、学生時代のバイトで会った中学生達は価値観柔軟だったと思うし、前に進んどるな〜。
田舎の小中学校はいまだにマッチョイズム趣味がないと肩身狭いんかもしれんけど、こういうアニメで堂々と存在を可視化することで生きやすくなると思う。ええよね〜
てか書いてて思ったけど、小中学校で聞こえの良い放課後や休日の過ごし方が少なすぎん?サッカーか野球か水泳かピアノ、みたいなさ。
アメリカやとアメフトとチア、みたいな。少な…世の中もっと様々な面白いことあるやん。ほんでそこでやってない世界でびっくりするぐらい才能ある子もおるのよ。はよ教えたって。

いまだに生理はオーガズム的快感を伴うものと思ってる男がいるとかいないとかの都市伝説がTwitterで流れてますが、そもそも生理というものが隠されまくってることがおかしいと思った。
ドミーシー監督はそういう観点からも初潮(?)シーンを入れたかったとのことで、無事素晴らしい表現になってた。
自分も初潮あった頃「なぜこの現象をみんなが徹底的に隠すのか」を全然理解できなくて強烈な違和感を持ったことを思い出した。友人があの手この手でナプキンを隠す意味がわからなかったけど、当時みんなやってるから…というので合わせて、今やなんとなくナプキン買うときは女性店員のレジで会計したくなる大人になってしまった…。謎の圧力ってものすごい影響ある。ただの人間の生理現象なんやから恥ずかしくないし、フラットでオープンになるといいな。

また、親との関係描写も素敵でした〜
資本主義的競争社会を背景に、少女期の女はいわゆる「父の娘」類型で描かれることはあったけど(ブックスマート、美女と野獣など)今回違うアプローチだったと思います。日常では見るけど映画では初めてみた。グザヴィエドランはいつやってもおかしくないかも。

主人公メイメイはアイドルが好きだったり友愛を大切にしていたり、また規範遵守の固定観念が読み取れないことから(あんなにレッサーパンダになるなって言われたのに金儲けしてたし)父権的価値観に服従してるようには見えない。
彼女の行動原理としてあるのは「母親の期待を裏切りたくない」という思想。
またその背景にあるのは母親による娘への同一化、支配欲求のように思う。
メイメイにとって母親が絶対的なんよなあ。思春期になって息苦しさを感じるものの、だからといって母親が嫌いな訳ではない。同級生に母親を侮辱されて怒るメイメイ泣ける…
母親は学校に不法侵入するあたり、正直いわゆる毒親と言っていいが、自覚なくこれに近いことやってる親って多かれ少なかれおるんちゃうかなあ。
アメリカ制作の映画で出てくるってことは世界共通なんか…と思うと人間て国が違ってもここまで似るのかとすごい不思議。
ほんでこれを的確にキャラクターにと落とし込むピクサーの技まじで唸るしかない。どういう制作会議してる??

オタク男にはわりとスポットあたるようになってきたけど、女はまだまだなので今後非常に楽しみですね
我らがクロエジャオもいるし、今後その辺抉ってこられるきがする。楽しみ〜
なっちゃん

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