よねっきー

私ときどきレッサーパンダのよねっきーのレビュー・感想・評価

私ときどきレッサーパンダ(2022年製作の映画)
4.8
10代の少女が変身してモンスターな親と戦う「毒親ディザスタームービー」だ!!

まず、監督の作家性がここまで色濃く表出した作品がピクサーから出てきたことに感動。ディズニーは映画作りの方法論がかなり盤石なので、質の高い作品は多いけど個性の強い作品は少ない印象だった。だけどこの映画は監督の味が全開。短編『bao』で家族の物語を可愛くショッキングに描いてみせたドミー・シーが、今回もちょっとだけ「型破り」をやってくれる。

今作は制作チームのリーダーがすべて女性だったらしいんだけど、これは大英断。なんと生活必需品「ナプキン」がディズニーの映画に登場するのだ。それがどんなに意義のあることか! 今までどれだけ多くの映画が比喩を駆使し、生理現象の存在を隠しつつ「少年/少女の成長」を描いてきたかを考えると、この一手は決定的だ。それでいて「赤いレッサーパンダ」というモチーフがメタファー的記号でなく、飽くまでもファンタジー的存在として描かれるところも観やすくて良い。

冒頭から90年代日本アニメを彷彿とさせるパステルカラーの世界観や、ところどころにあるマンガ的演出を楽しみながら観ていたからこそ、あのクライマックスは「そうなるのかよ!」と興奮しっぱなし。お母さんの手を引きながら歩く主人公のショットで訳もわからず泣いた。
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